【選手の枠を越えて多才な人物】今村駿介に聞く30の質問/レースのこと、趣味のこと、これからの想い


(2021年6月 Jプロツアー群馬 このレースよりRP9に乗車)


TEAM BRIDGESTONE Cycling、トラック/ロードチームの今村駿介は、多才な男です。

2015年、高校3年生の時に、トラックのポイントレースで世界チャンピオンを獲得した彼は2018年、中央大学の在学中にチーム入り。その年はトラックレースでワールドカップ(現ネイションズカップ)を中心に参戦し、日本代表チームパシュートメンバーとして記録の向上に貢献してきました。



(2019年5月 Jプロツアー宇都宮 ロードレース初勝利)


その翌年、2019年にはロードレースでの鮮烈な初勝利を果たし、その年にはロードレースで3度の優勝を獲得しました。さらには全日本選手権でU23の個人タイムトライアルで優勝。同年のロードレースではU23として世界選手権に出場するなど、その存在を自転車競技界に知らしめていきました。

2020年の世界選手権では、チームパシュートで3分52秒台の日本記録を達成したメンバーの一人となり、同年のロードレースでは、チームのエースとしての役を担いました。



(2020年2月 トラック世界選手権ベルリン チームパシュート 日本新記録樹立)


自転車競技を世界レベルで長く走り続け、着実に成長し、結果を残してきている23才の今村。一時は真剣にプロを目指したというピアノの腕前も、なかなか聴かせてくれませんが相当のものだそう。最近はアスリートとしての栄養学の追求から、料理の腕もメキメキと上がっているといいます。

常日頃からスポーツに対する探求と勉強を欠かさず、成績に対して真摯に向き合っている彼は、自転車アスリートとしてだけでなく、一個人としてもとても興味深い人物です。



(2021年6月 Jプロツアー群馬)


なかなかに一言で語りきれない今村の魅力。彼への理解をさらに深めていただくため、今村に30の質問に応えてもらいました。自転車のこと、レースのこと、そしてその人物像について。

これからのトラック/ロードの競技界を担う一人となるだろう今村に、これまで以上に目を向けていただける材料となれば幸いです。


(2021年 Jプロツアー群馬)

今村駿介 Shunsuke IMAMURA  
   1998/2/14生  福岡県久留米市 出身


・これまでの主な成績

  2020年11月 アワーレコード 52.468km →レポート
  2020年9月 Jプロツアー ロードレース 2位 →レポート
  2020年2月 チームパシュート 日本記録 3分52秒956 →レポート
  2019年6月 全日本選手権 個人TT 優勝 →レポート
  2019年5月 Jプロツアー ロードレース 初勝利 →レポート
  2015年8月 世界選手権 ジュニア ポイントレース世界チャンピオン  →UCI リザルト

【今村駿介 選手紹介】
  →【2021年BGTチーム員紹介】今村駿介
  → 自転車 x 負けず嫌い = 今村 駿介 【2020BGT選手紹介】



(2017年12月 チーム入団 発表会)

・自転車競技を始めたのはいつ?


高校です。 中学までは陸上の中距離をしていました。ですが小学校の高学年ぐらいには、自転車選手になろうと決めていました。


・お父さんが競輪選手だったそうですが、それも影響している?


小さい頃からずっと父のことを見ていたので、 父を誇らしく思っていましたし、自分も父にようになりたいという気持ちでいました。

目の前で練習に出かけていく姿が、とても印象に残っています。父の帰りを帰ってくるだろうルートで待っていて、おんぶしてもらって一緒に帰って来ることもありました。


(2018年7月 オリンピック2年前イベント)


・ジュニア時代、ポイントレースで世界チャンピオンになった時はどういう気持ちでしたか?


高校3年生の時ですね。2回目ぐらいのポイント周回で抜け出したタイミングで、ラップ(周回追抜き)を取ったんです。そこから20ポイント差をキープして勝利したという感じでした。

獲ったあとは、世界チャンピオンだとよく言われたので、気持ちとしては浮き足立つというか、調子に乗ってしまうというか、そういったものがありました。

ですが高校卒業後に世界選手権に出場し、ここでエリートとの差を大きく感じました。このとき、もう一度気が引き締まったのを覚えています。


(2021年6月 Jプロツアー群馬)


・レース前にはローラー台でのアップよりもストレッチを多くされる印象ですが、なぜ?


身体の可動域が狭い状態だと、踏めるものも踏めなかったりとか、普段のパフォーマンスが出せないと思うので、ストレッチを大事にしています。静的ストレッチから始めて、動的ストレッチで終わるようにしています。

試合前にローラー台でウォーミングアップをしても動くようになるのは下半身だけになってしまう感じがあります。でも全身はつながっているので、上半身も含めたストレッチを行っています。これがベストなパフォーマンスにつながると考えています。


・自転車のセッティングでこだわるのは?


快適に乗れるポジションと、パワーを出せるポジションのバランスを詰めているという感じです。 具体的にはサドルのポジションですね。下りや平坦では休めて、攻めどころで力を出せる。そのバランスを考えています。


・レースでは自分のここを見て欲しい、というところは?


キツい顔になってからのガンバりでしょうか。実際にキツいんですが、ここからは追い込むだけだなという感じで、 気持ちが切り替わります。

追い込むのが得意なんですよね。 追い込めるほど、自分の地力が出てくるんですかね。



(2019年6月 全日本選手権、個人TT)


・今まで1番嬉しかった勝利は?


2019年のアジア選手権、韓国でのチームパシュートでの優勝です。これで勝てなかったら、オリンピックへの挑戦が終わるという状況の中で勝てたので。

  →レポート 【トラックアジア選手権2020】チームパシュート/日本優勝、2020東京出場へ望みをつなぐ

3分52秒台(現在の日本記録・2020年2月世界選手権にて記録)が出るまでの道のりには、このアジア選手権での勝利が、とても大きな意味を持っていたと感じています。そこからひとつひとつクリアして、52秒というタイムに向かっていきましたから。


・自転車競技、1番の魅力は?


駆け引きだと思います。


・ルーティンやジンクスはありますか?


遠征に出る前や、レースの日は、ホテルであっても自分のベッドをベッドメークと同じぐらいに綺麗にします。これは高校の頃からしていることで、忘れてしまうとなんかマズいかな、っていう気がして。。。



(2019年12月 トラックワールドカップ・ブリスベン)


・遠征などに必ず持っていくものは?


いくつかありますが、絶対に持っていくのはマッサージ用のラクロスボールです。すごく筋肉のフトコロに入っていくんですよ。テニスボールとかゴルフボールというのはよくありますが、僕はラクロスのボールを使います。

それとお守りです。実家でよく行った神社でいただいた身護りを持っていきます。


・オフの日はどんなことをしますか?


とにかく回復に努めます。逆にリカバリー以外の日はめちゃめちゃ追い込むので。出されたトレーニングを、時間の中で極力追い込むようにしています。オフのためにガンバっている感じです。

なのでオフはめちゃめちゃ本気で休みます。近くの美味しいパン屋で食べるとか。身体と心のリカバリーで、昼からお風呂に入ったりもしますね。

オイルを使ったセルフマッサージもよくします。最近は『かっさ』を使っています。これは牛のツノで作った板のようなもので、筋(スジ)をコリコリして老廃物を流すというもの。効きますよ。


・ピアノが得意とのことですが、いつから?


3歳、4歳ぐらいからです。



(2004年頃 ピアノ発表会)


・ピアノが嫌いになったことはありますか?


あります。コンクールのたびに嫌になっていましたね。小学校の頃はコンクールに毎年出ていました。


・コンクールの成績はどうでした?


レベルがあるとは思うのですが、金賞だったり特別賞だったり、そういったものをたまにいただいて。それを目指してやっていた、という感じです。


・よく弾く曲は?


『革命のエチュード』(ショパン)です。最初にバーンと弾いて、最後までは弾かないんですが、指の動きが必要なので、自分がどれぐらい弾けなくなっているかなぁ、というのを確かめる感じで弾きます。



(2021年4月 Jプロツアー 群馬)


・料理も好きだと聞いています。得意な料理を教えてください。


これ、というものはないんですが、レバーの甘露煮をよく作ります。好きというか、それしか時間かけて作るものを知らないんで。。。


・馬肉をよく買われるそうですね。なんでも卸から大量に買うとか。


馬肉は、一回に2、3キロぐらい買いますね。小分けして冷凍庫に入れておきます。一気には食べられないので。

福岡の出身だからか、小さい頃から馬刺しを食べていましたし、馬刺しが好きなんです。好きなのは、馬刺しの味なのか、それにつける九州の甘い醤油が好きなのかわからないんですけれど。今も豆腐や板わさなど、醤油にはこの甘い醤油を使うことが多いですね。


・食事にはどんなふうに気を使いますか?


高タンパク、低脂質で、三大栄養素を気にしています。それに加えて、ヨーグルトなどの乳製品とフルーツを摂るようにしています。摂取と消費のカロリーをある程度考えて食べています。

毎食ごとに栄養を考えて食べますね。メインと、主食と、汁物は必ず食べるので、それに加えてヨーグルト、フルーツ、といった具合です。



(2020年12月 クラブハウスにて)


・米と麺とパンとパスタどれが1番好き?


麺ですね。もう、麺は、そば、うどん、ラーメン、選べないぐらい全部好きです。


・では博多ラーメンは、実家に帰ったら食べますか?


食べるようにしています。やっぱり帰ったら食べないと、という義務感があります(笑)。

食べるのはもちろんとんこつラーメンです。トッピングとかはあまりしないです。味玉はなるべく入れるようにしていて、麺は硬めで。


・ファッションのこだわりはありますか?


快適性ですね。 地味なものが好きです。


・髪型は長いのと短いのどっちが好き?


短い方が好きですね。快適ですから。それに尽きます。バリカンを使って、暑い時期とか、髪型はどうでもいいなって思うときには、坊主にしたりします。



(2020年10月 Jプロツアー 大分)


・無人島に持っていくなら?


パッと思うのは、ラクロスボールですね。どこに行っても回復第一、です。


・今日中に使わなきゃいけない百万円があったら何を買いますか?


馬肉です。


・都会派ですか? 野外派ですか?


インドア派で、映画派ですね。


・では一番お勧めの映画は?


一番最初に感動した映画、『アルマゲドン』にしておきます(笑)。『海賊と呼ばれた男』もいいですね。


・2020年のトラック全日本選手権には出場しませんでしたが、それは教育実習を行っていたからだそうですね。そこではどんなことを覚えていますか?

 
教育実習に行ったのは、自分の出身高校です。最初、生徒は僕のことは知らなかったんですが、お別れの時には調べてくれていたのか、最後にもらった色紙には、チーム公式の顔写真を切り抜いて貼ってくれていました。



(2020年2月 チーム公式写真)


・将来のざっくりとしたイメージを教えてください


自転車には携わっていたいと思っています。指導者ですね。


・今年のレースでの目標を教えてください。


世界選手権で、出場した種目で入賞することです。


・走りを見てくれるみなさまへの一言


勝ちを目指して積極的な走りをします。これからも応援よろしくお願いします。



(2019年6月 全日本選手権 U23ロード)


今の自分の目標に向かって、出し惜しむことなく追い込める実力を持つ選手、今村駿介。2021シーズンはこれから、どんな活躍を見せてくれるのでしょう。

チームブリヂストン選手として全力を尽くし勝利に向かう今村に、皆様の熱い声援をよろしくお願いいたします。



photos: Satoru KATO, Kei TSUJI, Kanako TAKIZAWA

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