W杯直前! 飯島誠のトラックレース総ざらい 【Vol.1 ケイリン】

先日アジア選手権が終了し、11月1日より、いよいよワールドカップがはじまります。
来年2月26日から開催される世界選手権と合わせて、東京2020オリンピックの出場枠を獲得するための重要なレースを前に、オリンピックに採用されている6つのトラック種目の見どころやルールを改めて三度のオリンピック、トラックレースへの出場経験がある飯島誠が紹介します。
第1回は日本のお家芸ともいえる「ケイリン」です。

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日本発祥の「競輪」が国際種目に
ハイスピードでの駆け引きが魅力

日本で生まれた「競輪」が名前もそのままにトラックレースの国際種目として発展したのが「ケイリン」です。昨年まで2年連続で世界選手権大会の男子ケイリンでメダルを獲得しており、北京2008オリンピックでも永井選手が銅メダルを獲得。まさしく自転車競技における日本のお家芸と言える種目です。
ケイリンは1レース最大7名で行われます。250mの室内トラック6周回(1500m)で競われるケイリンですが、残り3周まではペーサーと呼ばれる先導誘導車が選手たちの前を走行します。ペーサーはスタート時の30km/hから徐々にスピードを上げていき、最終的に50km/hまで加速し、コースから離脱。ペーサーが先導している間は、選手はペーサーを追い抜いてはならず、ペーサーの後ろでの位置取りの駆け引きもケイリンの魅力のひとつです。

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ホーム側中央線に横一列に並び、レースがスタート

トップスピードは75km/h超!
コンマ数秒差で勝敗が決することも

ペーサーが外れ、残り3周回(750m)になると、いよいよレース本番。風よけの役目も果たしていたペーサーが抜けたことで、レース展開はさらに目まぐるしく変化していきます。フィニッシュラインの通過順位がそのまま成績となるため、先行逃げ切りを狙う選手や最後の最後に追い込んでの勝利を狙う選手など、それぞれが状況を判断しつつ、得意な戦法を駆使してレースを進めていきます。それぞれの思惑が重なり合うことで、大番狂わせが発生しやすいのもケイリンの特徴といえるでしょう。
1回戦ののち敗者復活戦が組み込まれている点も、レース展開や組み合わせによっては実力のある選手でも敗れてしまうことを表わしているのかもしれません。


TEAM BRIDGESTONE Cyclingからは、太田りゆが東京2020オリンピック女子ケイリンへの出場を目指し、W杯を戦っていきます。
先日、11月1日からのW杯の第1戦(ベラルーシ・ミンスク)に太田が出場することが発表されました。昨シーズンのW杯でも、最終戦で2位に入った彼女の活躍をぜひご期待ください。

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それぞれが得意の展開に持ち込むために、激しい位置取り争いが繰り広げられる
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最終コーナーを抜け、ラストの直線へ。トップスピードは75km/hを超え、ハンドルを投げ出しながらゴールラインへ飛び込む


< 今後のトラックレース開催予定 >

2019年
11/1~11/3 トラックワールドカップ第1戦 ベラルーシ・ミンスク
11/8~11/10 トラックワールドカップ第2戦 イギリス・グラスゴー
11/29~12/1 トラックワールドカップ第3戦 香港
12/6~12/8 トラックワールドカップ第4戦 ニュージーランド・ケンブリッジ
12/13~12/15 トラックワールドカップ第5戦 オーストラリア・ブリスベン

2020年
2/26~3/1 世界選手権大会自転車競技トラック種目 ドイツ・ベルリン


◆先日開催されたトラックアジア選手権2020でのTEAM BRIDGESTONE Cyclingの活躍は下記記事をご確認ください!

「チームパシュート/日本優勝、2020東京出場へ望みをつなぐ」
https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/10/191017TRACK-ACS-TPP.html

「男子オムニアム/橋本が金、アジア選3度目の勝利」
https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/10/191019Acs-Omni.html

「女子スプリントで太田4位、出場枠に向けポイント獲得」
https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/10/191019Acs-Sprint.html


「男子マディソン/窪木・橋本が銀、最終周回での攻防」
https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/10/191021Acs-Madison.html


「女子ケイリン/太田5位、小林選手が銀メダルに」
https://www.bscycle.co.jp/anchor/blog/2019/10/191021Acs-WKeirin.html


(写真/播本明彦、小暮 誠)

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