【2023アジア選トラックまとめ】これら勝利のもたらすパリ2024に向けた意味合いを、種目ごとにお伝えします

【2023アジア選トラックまとめ】これら勝利のもたらすパリ2024に向けた意味合いを、種目ごとにお伝えします

6月14日から19日まで6日間にわたって行われたトラック・アジア選手権。パリ2024オリンピック出場枠獲得に大きく関わるこの大陸選手権で、チームブリヂストン選手たちは多くの勝利を重ねました。

またチーム選手はもちろんのこと、日本ナショナルチーム・エリートクラスの男女選手全てが、ブリヂストンの自転車フレームに乗って、この大事な勝利を掴んでくれました。

参加したすべての日本選手の情熱ある走りとブリヂストンの自転車造りの技術が、パリ2024オリンピックに向けた確かな道筋を描くことができたと信じています。

これは選手たちの練習の賜物ではあります。しかしそれだけではありません。
オリンピックでのメダル獲得を真摯に目指せる環境と、メダルを獲れると心から信じてくれ、名実ともに応援いただいている皆さまの行動と気持ちと声。
それらが、彼らの走りを後押ししているのは間違いありません。

チーム一同、皆さまよりいただいている絶大なる応援に、心より感謝いたします。
それでは、このアジア大陸選手権での勝利とその意味合いを振り返ります。パリ2024オリンピック種目である競技から見ていきます。

photos:/ JCF, Nick Hano aka @monkey.curly



(松田、兒島、窪木、今村、橋本)

6/14 男子チームパシュート/優勝 *パリ2024オリンピック種目


チームブリヂストン出場選手:窪木一茂、橋本英也、今村駿介、兒島直樹、松田祥位
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トラック中距離のオリンピック種目の中で、最も大事なカギとなる男子チームパシュート。
この種目でオリンピック出場枠を獲得できれば、マディソン、オムニアムの出場枠も自動的に獲得できるルールです。
オリンピック・ランキング上位10カ国が枠を手にしますが、出場前の日本のランキングはその当落線上にありました。

このアジア選手権での勝利で、ランキング10位となった日本。ただ枠の確定はポイント総数で決まり、世界選手権などポイントを獲得できる大会はまだ続きます。
そのため出場の確定を断言できる国はまだありません。日本の出場への可能性は、光り続けています。

そしてチームブリヂストン選手で構成される男子チームパシュート出場選手は、先の全日本選手権での日本記録更新(>記事はこちら)を含め、3回の公式戦で連続して自己記録の更新を続けています。
彼らのさらなる記録更新に、これからもぜひご期待、応援をお願いいたします。


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(太田)

6/16 女子スプリント/優勝 *パリ2024オリンピック種目

チームブリヂストン出場選手:太田りゆ

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今大会の女子スプリントで太田りゆは、大きな躍進を見せました。

予選である200mフライングタイムトライアル(通称ハロン)、太田は10秒596のタイムで日本記録を更新。
そのタイムを自信に変え、決勝のスプリントでは対戦相手となった梅川風子選手、佐藤水菜選手の両名に共に2本先取のストレート勝利。
自信を優勝という形で具現化し、スプリントでの勝負強さを存分に証明できました。

アジア選手権2連勝という事実も大事ですが、それ以上に評価されるべきは、太田の「目標を確実に実現していく力」です。
自身に足りないところを自覚し、その弱点を埋めながら自身の強みを高めてきた太田。それはチームブリヂストンに加入してから何年も続けてきた彼女のやり方です。

「スプリントでもっと強くなる」今シーズンにそう誓った太田は、その言葉通りにタイムでは自分を超え、勝負ではアジアを制しました。

これでスプリントのオリンピックランキングは、国別で6位。チームスプリントでスプリントの出場枠も獲得できますが、仮にそうでなくても、日本出場の可能性は大きくなりました。
太田の折れないしなやかな心が、世界選手権で、そしてパリ2024オリンピックで、さらに羽ばたくのを心待ちにしています。

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(小原佑太選手、長迫、太田海也選手)

6/14 男子チームスプリント/優勝 *パリ2024オリンピック種目

チームブリヂストン出場選手:長迫吉拓
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先のインタビュー(>記事はこちら)で語ったように、長迫吉拓はこの男子チームスプリントでのメダル獲得を、一走走者に専念し目指しています。

すでにネイションズカップでも表彰台に上がり、世界強豪国ともなっている日本チームの実力は、このアジア選手権でも確かに発揮されました。

自身の目指していたタイムには届かなかったという長迫ですが、結果チームとして2位中国に大きな差をつける走りへ繋げました。
ランキングも5位に浮上。日本チームがオリンピックへ出場する可能性もさらに大きくなりました。

長迫が目指すメダル獲得、3度目のオリンピック出場での夢の実現も、また一歩現実に近づきました。


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(今村、窪木)

6/18 男子マディソン/優勝 *パリ2024オリンピック種目

チームブリヂストン出場選手:窪木一茂、今村駿介

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男子マディソンでの窪木一茂と今村駿介のペアは、世界大会での表彰台をいく度も獲得しています。その確固とした走りの実力を、この大陸選手権でもしっかりと見せられました。

2度の周回追抜きを含む、1着ポイントをしっかり取っていく圧倒的な走り。まさに実力通りの走りで、「勝たなくてはいけないレースを着実に勝ちました」(宮崎監督)。

前東京2020オリンピックには、その歩み出しが間に合わずに出場を見送ったマディソンですが、そこから4年、窪木・今村ペアの実力は、明らかに世界レベルです。
メダルの獲得も視野に入ってきたのが見られる走りと勝利でした。



(佐藤水菜選手、酒井亜樹選手、太田)

6/14 女子チームスプリント/2位 *パリ2024オリンピック種目


チームブリヂストン出場選手:太田りゆ
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女子チームスプリントでは2位となった日本。太田は決勝の二走を担当し善戦しましたが、強敵の中国にはかないませんでした。

その中国は現在ランキング1位。そして日本はランキング10位です。上位8チームが出場枠を獲得できるチームスプリント、ここでは銀メダルを獲得できましたが、世界選手権での好成績が望まれることとなりました。

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(梅川風子選手、佐藤水菜選手、太田)

6/18 女子ケイリン/3位 *パリ2024オリンピック種目


チームブリヂストン出場選手:太田りゆ
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スプリントでは勝利した同じ日本の両選手に、太田はこの女子ケイリンで、少し届きませんでした。
決勝では後方からの追い上げを大外から狙った太田。残り1周を前に先行する中国の選手が外に膨らみ、それを避けるためにさらに外を走った結果、最後の追い上げで先行の日本2選手に届かず3位に。
日本チームが独占した表彰台ですが、太田は銅メダルと悔しい一戦になりました。

「狙い通りではあった走りでしょうが、タイミングが合わなかった」(宮崎監督)。ケイリンにはそういう運もつきものです。世界選手権での太田の活躍にご期待ください。

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6/19 男子オムニアム/優勝 *パリ2024オリンピック種目


チームブリヂストン出場選手:橋本英也
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東京2020オリンピックで男子オムニアムに出場している橋本英也。
このアジア選手権では、その橋本ならではの野生的な走りを改めて見られることになりました。

第1種目スクラッチでは先行した2選手に周回追抜きされ、集団の頭でフィニッシュするも3位に。
第2種目テンポレースではレース運びと走りの波を惹きつけるようなタイミングで、1位でフィニッシュします。

ところが第3種目、得意なはずのエリミネーションでまさかの11位フィニッシュ。本人も驚いていたようですが、ミスはミス。
しかしこのミスを最終種目のポイントレースで取り返します。巧みな位置どりと加速で1着ポイントを獲得しながら、橋本ならではの走りが光ったのは終盤。
1着ポイント獲得からの、フッと緩んだ集団の隙をつき、あっという間に周回追抜きを決めて1位を確定。
このゲーム感覚の鋭さが、橋本の特徴でもあり魅力です。

オムニアムだけのランキングでは、日本は6位。どうあれ出場枠は獲得できそう、というのが宮崎監督の大きな見方。
問題は、さて誰が出場するのか、になってきそうです。

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6/15 男子エリミネーション/優勝

チームブリヂストン出場選手:橋本英也

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ネイションズカップでも勝利している橋本のエリミネーション。このアジア選手権でも、まさにその実力通りの走りで勝利、トレードマークの笑顔でレースを締めました。
8月の世界選手権にも日本代表として出場することでしょう。世界最高の舞台で戦う橋本の走りに、ファンならずとも大きな期待が高まります。

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6/16 男子スクラッチ/2位

チームブリヂストン出場選手:今村駿介

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今村が出場したスクラッチ。勝利を狙っていましたが、後半で先行された選手がそのまま逃げ切り。今村は集団の頭となって追いましたが届かずに銀メダルでした。
今村の超絶なフィジカルの強さを見せきれないレースとなったのが残念でしたが、その悔しさは次の世界選手権で、必ず晴らしてくれるはず。


6/16 男子個人パシュート/優勝

チームブリヂストン出場選手:窪木一茂、松田祥位

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全日本選手権で松田祥位が述べたように(>記事はこちら)、決勝では窪木と松田の一騎打ちとなった個人パシュート。2人とも勝利はもちろん、日本記録の更新を狙います。

先行したのは松田、チームパシュートでの一走を任されていたように、その初速の加速は確かなものでした。
しかし中盤以降で窪木がじわじわと追い上げ、最終的には2秒の差をつけて窪木が勝利。アジアチャンピオンのタイトルを獲得しました。

まさに個人の力量と経験を見せつけるかのような窪木の勝利。記録更新がならなかったのは残念でしたが、チームキャプテンならではの堂々たる走りでした。

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6/17 男子ポイントレース/優勝


チームブリヂストン出場選手:兒島直樹

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兒島直樹は「このポイントレースでの勝利に気合いが入っていました」(宮崎監督)。
その気合い通りの走りで、1着ポイントの獲得はもちろん、そこからも脚を緩めることなく踏み続けたのが印象的でした。

結果、6度の周回追抜きを決めレースを支配したとも言える走りでの優勝。
兒島の視線の先にはアジア選手権の勝利ではなく、明らかに8月の世界選手権での勝負がありました。

出発前から「世界選手権でのメダルを目指している」と言い切っていた兒島ですが、まさに公言通り。
その言霊の強さと実現力は、先のツアー・オブ・ジャパンでの山岳賞を狙ったところから留まることを知りません。
日本自転車競技のホープと言ってしまって、思ってもらって構わない22歳の逸材です。これからもぜひ、ご注目ご声援の程を。


【ハイライト動画】


チームブリヂストン選手が心と体を磨いて臨んだ、今シーズンの山場のひとつだったアジア大陸選手権。
結果としてメダルを多く獲得できた大会ではありましたが、これはまだ世界と戦う上でのひとつのステップ。これからさらに大きな山となる、世界選手権が待っています。

チームブリヂストンサイクリングの世界への挑戦にこれからも、皆さまの大きな声援で、ぜひ力強い後押しをお願いいたします。

さらに、今週末にはロード全日本選手権が開催されます。このアジア選手権に出場しなかった3名のチームブリヂストンサイクリング選手、河野翔輝と山本哲央、岡本勝哉が、それぞれの勝利を狙います。
彼らの走りにもぜひ、皆さまの大きく熱い声援で、力強い後押しをなにとぞよろしくお願いいたします。

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