【2023世界選トラックがんばれ】今村駿介インタビュー『出られなかった東京のころから今までのこと』

【2023世界選トラックがんばれ】今村駿介インタビュー『出られなかった東京のころから今までのこと』


(2023ツアー・オブ・ジャパン)

ロングレースからスプリントまで活躍できる、今やチームの要であるチームブリヂストン選手、今村駿介。

2018年のチーム入りからこれまで、大きく成長を遂げた選手です。

2018年は、「長いロードレースも完走できなかった」と語る今村でしたが、2019年の初頭にアシストでも上位でフィニッシュする実力を認められ、エースとしてJプロツアーで勝利。
その後はロードレースとトラックの両競技で活躍。
昨年は、トラックではネイションズカップのグラスゴー大会でマディソン2位(窪木一茂ペア)、ロードレースではUCIレースのツールド北海道で第1と第3ステージを優勝しています。


(2022ツール・ド・北海道)

福岡県うきは市出身の今村は今年、地元である福岡を走るロードステージレース『ツール・ド・九州』(10月6日~9日開催予定)に出場を予定しています。

それに先駆け6月下旬に今村は、先のアジア選手権での勝利をブリヂストングループの方々へ報告するための、そして、このツール・ド・九州を盛り上げるためのご協力のお願いで社内イベントに登壇しました。

開催されたのは、本社、株式会社ブリヂストンの九州にある3工場。
創業の地である福岡県久留米市の久留米工場、そして鳥栖工場と甘木工場です。
各会場で50~70人ぐらい、ブリヂストングループの方々の前で、今村を始め全霊を注ぐトラックレース、そしてロードレースの説明を、同じく福岡市出身の兒島直樹と共に行いました。

今村に、そのイベントで何を感じたか、そして東京2020オリンピック前後から今に至るまでの自身の成長について、話を聞きました。



(2023年 ブリヂストン鳥栖工場にて)

ーー先日のブリヂストン工場でのトークイベントで、どんなことを感じました?

僕らの所属するブリヂストングループの方々への話だったので、身内という感覚もあり話しやすかったです。来てくださった人たちは自転車競技に少なからず知識を得てくれたと思います。

同じグループで活動しているアスリートがいることを皆さんに知ってもらい、僕がこの地元の出身だっていうことも。

そういった質問も多くいただけました。今まで行った遠征の国の話とか、時速はどれぐらい出るのかとか、怖くないのかとか。最初の方は普通に聞いてくれていたのが、少しずつ興味を持ってくれるのを感じました。

それに、こうやって本社の創業の地でもある久留米を通る『ツール・ド・九州』で、もっと大きく巻き込んでいけるのが嬉しいです。
グループの国内にいる約1万3千人ぐらいの方々全員に、僕らの活動を知ってもらえる機会だと感じました。

皆さんに少しでも自転車を知ってもらえるのが嬉しいです。

その後にでも、イベントに出られなかった同僚に「さっきこういうことがあってさ」って話を広げてくれていたり、
家に帰って「今日、うちのグループの自転車やってるアスリートが、今度この辺であるレースに出るみたいでさ」みたいに話を広げてくれていたら、もっと嬉しい。



(2023ツアー・オブ・ジャパン)

ーー東京2020オリンピック開催までの1年間、オリンピック代表候補リザーブでしたがどういう気持ちでした?

リザーブがすごくがんばることによって「覆らないかな」って思う気持ちで練習して、見せつける気持ちでいました。
そうやってやることによって、いつでも行けるよっていう姿勢を見せて。だからそんなに辛いっていう立場ではなかったんです。

僕としてはオリンピックまでのプロセスを踏ませてもらえることが、すごくありがたかった。
リザーブも同じようにオリンピックまで、どういったことをして、どういったトレーニングをして、っていうのを、間近で見られ、同じことを、経験させてくれる。次のオリンピックに向けたシミュレーションのような機会だなと思っていました。

それは、窪木さんが、たぶん辞退してくれたのもあると思います。
僕にそういう経験もして欲しいというので、引いてくれたと思うんですけど。

ーー2021年のオリンピックを見ながらあの時、なにを感じました?

ギリギリまで一緒に練習してた選手、(橋本)英也さんが、どれだけ走れるのかということにすごく興味がありました。
僕が見てきた英也さんのフィジカルとレース感覚でどれだけやれるんだろうというのが。
あとトップ選手たちがどれだけすごいパフォーマンスを見せるのか、っていうのにも。

その時に、初めて悔しいと思いました。
その場にいられなかった悔しさと、メダルを獲った選手たちに、強さを誇示されているような、見せつけられているような。
これだけまだまだ強いんだぞって言われているような感覚を覚えて、「僕はここで走るべきなんだ」とすごく感じました。

ーートラックレースではもちろん、ロードレースでも活躍を続けています。

昨年のツールド北海道、ここで初日と3日目に優勝できたのは、(トラックの)世界選手権前で、すごくコンディションを上げていたからです。
ここでいい走りができれば世界選にもいい刺激になると思っていました。

2日目も逃しはしましたけど、増田さん(増田成幸選手=現JCL TEAM UKYO)に喰らい付けるくらい上りも踏めて。
後ろの追走集団からも一人で飛び出して、すごく脚使ったのに、最後のフィニッシュ勝負も耐えられました。

あのツールド北海道の3日間は、自信がもう爆上がりしました。
勝ったことよりも、あの強度で180キロ3日間をしっかり走り切れた、出し切れたことが、すごく大きかったです。


(2023ツアー・オブ・ジャパン)

ーーロードは勝って嬉しいというのではなくて、視点が違う感じがありますね。

そうですね。出し切る、喰らい付いていくこと、絶対にちぎれないことが、強度域に達することにもつながるので。
キツいところから出すのが大変なんです。それが喰らいつくことによって自動的に絶えざるを得ない。

あとは、自分の力を誇示したい、というのもあります。驚いてくれるじゃないですか。
勝ったら喜んでもらえるし、特に上りのコースで、離れるだろうと思われてたものを残ってたら、「なんで今村残れてるの?」っていう。
それに最後まで残りさえすれば、勝てる確率がかなり上がるということが、最近わかってきましたし。

そういうところが、なんか、気持ちいいと思っています。


(2023全日本選手権トラック)

ーー今後の世界選手権、オリンピックに向けての気持ちや準備をどう考えていますか?

去年の世界選手権が終わった段階で、次が今年の世界選手権だと思っていました。
そこまでにいくつもいくつも波は作れないから、ひとつの大きな山を、世界選手権に持っていこうとしています。

オリンピックへの本気度は間違いなく日に日に強くなっています。
それは東京で落選した時も、東京のレースを見た時もそうでした。
レースごとに「まだできるな」「もっとやらないと」っていう気持ちがある。

大きなレースが気持ちの確かめじゃないけど、もっとちゃんとやるんだぞっていう、自分に向けてのモチベーションです。
向かえるたびに、改心というか、改めてちゃんと気持ちを入れ直してやるきっかけが、大きなレースです。


(ブリヂストンサイクル・磯部正博社長と)

だから練習をどんどんやっていきたいし、それで少しパフォーマンスが良ければ、これでいいんだって思える。
だったらその量を増やすとか。工夫して、足りないところを補う。やったことしか出ないっていうのが本当にその通りで。
出なかったら、やってこなかったっていう結果でしかない。

何かしらしないと、形に残らないから、無駄にしたくないじゃないですか。

全ての結果が次に繋がっている感覚は、「良くも悪くも計算のうち」。
それが最後にちゃんとした結果として現れれば、全てそうやって片付けられる。

そのためには、僕が狙っているレースで、最高のパフォーマンスを出さないといけない。

今はロサンゼルス2028なんて見えないし、パリ2024オリンピックが全てです。
そのためには、1年前と言えどイギリスの世界選手権では、
「今村は、やっぱり仕上げたら強いんだな」っていうのを見せたいと思っています。

 


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