【東京2020オリンピック自転車競技トラック 8/4-5 詳報】世界の強豪に挑んだチームブリヂストン

8月2日(月)に始まった東京2020オリンピックの自転車競技トラック。静岡県の伊豆ベロドロームを舞台に、1週間の戦いが繰り広げられました。
8月4日(水)からは、日本選手が出場する個人種目がスタート。脇本雄太選手(チームブリヂストンサイクリング)が男子スプリントに、小林優香選手(機材サポート)が女子ケイリン、そして橋本英也選手(チームブリヂストンサイクリング)が男子オムニアムに出場しました。それぞれのレース詳報をお届けします。

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日本新をマークするなど好調さを示した
脇本選手の男子スプリント


スペシャルデザインのトラックバイクとともに、日本代表チームの先陣を切った脇本選手。8月4日(火)15:30から「男子スプリント予選 フライングスタートの200mタイムトライアル」が行われました。
出走30名のうち14番目にスタートした脇本選手は、バンクの勾配をうまく使いスムーズに加速していき、前半100mを4秒735で通過、後半も減速することなく、200mを走り抜け9秒518(平均時速75.646km/h)をマーク。これまでの日本記録を0.044秒上回る日本新記録を樹立し、9位で「1/32決勝」に進出します。なお同種目に出場した新田祐大選手は、9秒728のタイムで全体26位。残念ながら予選敗退となりました。

「1/32決勝」は、コロンビアのキンテロ チャバロ選手との対戦。お互いの動きをチェック、けん制し合いながらゆっくりとしたスピードで半周を走ったところで、脇本選手が一気に加速。ラスト200mを9秒997で駆け抜け、チャバロ選手を寄せつけず「1/16決勝」に進出します。

「1/16決勝」の相手は、イギリスのジェーソン・ケニー選手。リオ2016オリンピックで短距離種目3冠に輝いている強豪です。前方に位置し、バンクを広く使いながらケニー選手の出方をうかがっていた脇本選手ですが、残り1.5周のところで一瞬のスキを突かれて、ケニー選手の先行を許します。終盤追い上げたものの差を縮めることができずに、0.021秒差で敗退。「1/16決勝敗者復活戦」での挽回をはかります。

ドイツのシュテファン・ボティシャー選手との「1/16決勝敗者復活戦」。イン側からスタートした脇本選手は、先行しながらもつねに相手の動きをチェックし、レースの主導権を譲りません。「1/16決勝」での反省を活かすような走りで、「1/8決勝」出場を決めました。

翌8月5日(木)に行われた「1/8決勝」。相手は、「フライングスタートの200mタイムトライアル」の世界記録保持者(9秒100)であるトリニダード・トバゴのニコラス・ポール選手。得意としている先行の形を作りたかった脇本選手ですが、ポール選手はそれを許しません。残り半周まで主導権を争いながら並走が続く、緊迫した展開。最終的にポール選手の先行を許し、敗退。「1/8決勝敗者復活戦」へと望みを繋げます。

「1/8決勝敗者復活戦」は、3名での争いとなりました。「1/16決勝」で一度後塵を拝しているイギリスのジェーソン・ケニー選手と、マレーシアのアジズルハスニ・アワン選手との対戦。2名と車間を空け、最後方から加速して先行を狙った脇本選手でしたが、両選手にタイミングを合わされ前に出ることができません。残念ながら、ここで男子スプリントの敗退が決定しました。最終順位はベスト12。


【最終結果】
男子スプリント /脇本雄太 1/8決勝敗者復活戦(ベスト12)

悔しい結果となった
小林選手の女子ケイリン


8月4日(水)、「女子ケイリン第1ラウンド」の4組に出場した小林選手は、6名中2番手からのスタート。残り2周を過ぎたあたりから全体がスピードアップしていきますが、後方を確認しながら、落ち着いて対応した小林選手。フィニッシュまで2番手の位置をキープし続け、翌日の「準々決勝」への進出を果たしました。客席からの声援にも応え、順調な仕上がりを感じさせます。

8月5日(木)、「準々決勝」最終3組に挑んだ小林選手。6名中4位までが準決勝に進出できます。4番手からのスタート。残り2周半で最初に仕掛けたウクライナのリュボフ選手をチェックし加速する小林選手でしたが、その動きが合図となり全選手が加速していきます。全選手が駆け上がっていくなか後半思うようにスピードに乗り切ることができなかった小林選手は6着となり、残念ながらここで敗退。
レース後、メディアへの取材に対し、「4着で勝ち上がれば準決勝だと、先のことを考えてしまった」と敗因を語りました。


【最終結果】
女子ケイリン/小林優香 準々決勝敗退

世界の壁の高さを感じた
橋本選手の男子オムニアム

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8月5日(木)、「男子オムニアム」に出場した、中距離のエース橋本英也選手。スタート直前には、観客の声援に笑顔で応える彼らしい姿も見え、程よい緊張感の中でレースに臨めていることが伺えます。

第1種目は「スクラッチレース」。10km(40周)のレースの着順がそのままポイントとなります。前方の位置取りを意識しながらも、先頭には長くは出ず脚をためながら集団の中で周回をこなす橋本選手。
残り15周を過ぎたあたりで、現男子オムニアム世界チャンピオンであるフランスのベンジャマン・トマ選手を含む強力な5名が、集団から先行。集団は彼らを追うことができずに、残り5周でラップ(周回遅れ)を許します。ここで橋本選手を含む集団にいたメンバーは6位以降の順位を争うことに。残り3周ほどでレースは一気にスピードアップ。早めに先頭に出た橋本選手は粘りの走りを見せ、全体8位。上々の滑り出しとなりました。

第2種目は「テンポレース」。10km(40周)のレースで5周目から毎周回1位にポイントが与えられ、獲得ポイントで順位が決まります。集団前方でレースを進める橋本選手は残り30周回で2名の選手とともに集団から抜け出します。この抜け出しで1ポイントを獲得しましたが、長くは先行を許されずにまもなく吸収。
その後は有力選手が次々にアタックをかける激しい展開となり、橋本選手はなかなかポイントを積み上げることができず、1ポイント16位でレース終了。暫定順位を14位に落としてしまいました。

第3種目の「エリミネーション」は橋本選手が得意とする種目。2周ごとに最後尾の選手が除外されていき、最後の1人が勝者となります。序盤2〜3番手をキープし、順調に除外を逃れていた橋本選手でしたが、後ろに下がったタイミングで、内側に位置してしまい、うまく前に出ることができず除外対象に。13位という結果に本人も不満げに首を横に振っていました。ここまでの暫定順位は13位。

最終回種目は「ポイントレース」。
レース中に獲得した点数がそのまま順位として反映されるため、上位逆転を狙う選手が積極的に動く展開。ポイント周回で4位までにポイントが与えられますが、橋本選手はなかなかポイントに絡むことができません。
周回遅れによるラップポイントも頻出する激しいメダル争いの中で、最後までポイントを獲得することはできず最終順位15位(オムニアムポイント54)で、競技を終えました。

メダル獲得を目指していた橋本選手でしたが、世界の壁は高く、チームにとっても非常に悔しい結果となりました。


3選手へのたくさんのご声援、ありがとうございました!


【最終結果】
男子オムニアム/橋本英也 15位(スクラッチレース 8位、テンポレース16位、エリミネーション12位)

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