【ツールド熊野2023】第１ステージ『熊野山岳』丸山千枚田の登りに選手は苦戦

山岳区間の札立峠がカットされ、丸山千枚田の長い登りが強く印象に残るツールド熊野2023初日。
このコースにチームブリヂストン選手は苦戦。TOJからの調子の良さを続ける河野が序盤に動くも、チームは後方集団でのフィニッシュでした。

河野

レース名称：第23回 TOUR de 熊野 2023(UCIアジアツアー2.2)
日程：2023年6月3日（土）〜4日（日）

第1ステージ『熊野山岳コース』
開催日：6月3日（土）
開催地：スタートフィニッシュ：三重県熊野市／熊野倶楽部
コース長：63.7km(前日の悪天候のため短縮)
出場選手：徳田優、山本哲央、河野翔輝、岡本勝哉
レース詳細：https://www.tourdekumano.jp/

ロード選手としての世界ランクを決める

UCIポイントを獲得できる大事なレース

ツール・ド・熊野は、世界遺産に登録される熊野古道が舞台の２日間のロードステージレースです。
UCI（国際自転車競技連合）のカテゴリーはアジアツアー2.2。ロードレース選手としての世界ランキングを定める『UCIポイント』を獲得できます。

世界を相手に戦うチームブリヂストン選手たちには、先のツアー・オブ・ジャパン(TOJ）に次いで、大きな意味を持つロードレースです。

このステージレースの前日に開催予定だったワンデーレース『古座川国際ロードレース2023』が悪天候の影響によりキャンセルされ、このツールド熊野のみの開催となりました。

河野、岡本

出場メンバーはチームの若手+α

このレースへの出場メンバーは当初、TOJに出場しなかった若手を中心に考えていました。
ただ出場予定だった山下虎ノ亮が先の全日本選手権トラックで転倒、脚を骨折して現在療養中です。

そのためにメンバーとしては、

　・TOJで頼れるトルクフルなエンジンぶりを見せつけた　河野翔輝
　・ロードレースでのライン取りに抜群のセンスあふれる　山本哲央
　・持久力と瞬発力を併せ持つ正統派ロードレーサー、今季すでに勝利を挙げた　岡本勝哉
　・そして山下の代わりに：現在はチームサポートを中心に大活躍する　徳田優

の4名となりました。

徳田

目には美しい千枚田は、走ると厳しい登りのコースに

まずは全国的にも大きかった悪天候の影響の中、レースを開催していただいたこと自体にチームブリヂストンは心より感謝いたします。

「あれだけの悪天候の後なのに、コース上もしっかりと掃除をしていただいて、路面状況には危ないことも全くなく、安全に走れました」（河野）

運営の方々、レースボランティアの方々、そして観戦に来ていただいた皆さまが、さまざまな状況の中でこのレースのためここにいてくれている事実。これを認識し感謝することから、この２日間のレースは始まりました。

photo(c): TOUR de KUMANO

この日のコースは、日本の棚田百選にも選ばれる丸山千枚田の脇を通ります。
前日の大雨の影響でコースは当初予定の104kmより63kmへと短縮。ハイスピードで高強度、しかも獲得標高も多いレースとなりました。

丸山千枚田はとても美しい光景。ですが棚田の脇を走るのは、標高差の大きな山を登ることでもあります。
結果コースは厳しい登りと難しい下りに。スプリント力では力を示せるチームブリヂストン選手が得意な舞台ではなくなりました。

山本

1位チームが上げた登りの速さに立ち向かった河野

そんな中でも、河野のがんばりが目立ちました。前半は積極的に集団の前方に位置し、逃げようとも試みます。
しかし今日はライバルチームのJCLチーム右京が逃げを許さない雰囲気を全面に。
さらに彼らは早々にチームでトレインを組んでハイペースな状況を作り、登りで圧倒的な走力を示しました。

こうなるとチームは我慢の一手。タイムオーバーにならないよう、集団の中での完走を目指します。
岡本、山本、河野は、後方集団での同時フィニッシュとなりました。

岡本

宮崎監督による、今日の総括です。

「コース変更もあって、大きなタイム差こそ付きませんでしたが、それでもうちのチーム向きでないことには変わりませんでした。そこはしょうがないかなという気持ちです。

その中でも河野はがんばってくれて、TOJから続くコンディションの良さを伺えました。

岡本も最後にパンクしましたが落ち着いて対処し、チームブリヂストンとして初めてのUCIレース参戦を感じさせないレース運びでした。

山本は登りでの速さに驚き走りのリズムを崩していたようですが、明日は何か見せてくれるでしょう」

河野

その河野はこう振り返ります。

「直前に距離が短くなって、きつい登りが2回あるコースに。そもそも勝負に絡めないかなと思っていました。

であれば走りを切り替えて、明日は勝負できるコースレイアウトなので、脚を残しながら走るのに徹しました。

ただ、それでも何があるかわからないので、前にいて逃げを狙いながら、アタック合戦には参加しつつ走っていた感じです。

TOJが終わってからはきちんと乗れていなかったので、自分の脚の感覚を確かめながら、というのが正しいですね。一回めの長い上りも、ある程度集団にはついていけたので、自分の調子は悪くないのかなとは感じました。

明日は長い上りもないコースで、ゴール付近はフラットなので、集団スプリントになると思います。最後まで残れば勝ち目があります」（河野）

岡本

そして、本当に久しぶりのレースとなる徳田は「全身全霊を尽くして」（宮崎監督）、なんとか完走できました。本人は小さな声で「すいません。。。」と遠くで言っていました。

でも、それでいいのです。今日完走しなければ、明日の出走はないのです。

ということで、第2日目であり最終日である明日、チームブリヂストンの若手＋αチームは、先のTOJのような美しい結末を迎えることができるのでしょうか。ご期待ください。

＊リザルト
第23回 TOUR de 熊野 2023 第1ステージ『熊野山岳コース』2023/6/3

1 山本大喜（JCLチーム右京）1:28:58
2 岡篤志（JCLチーム右京）+0:00
3 ジャンバルジャムツ・セインべヤール（トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム）+0:36
50 岡本勝哉（チームブリヂストンサイクリング）+5:29
51 山本哲央（チームブリヂストンサイクリング）+5:29
57 河野翔輝（チームブリヂストンサイクリング）+5:29
91 徳田優（チームブリヂストンサイクリング）+12:12

徳田