【ネイションズズカップ第二戦ミルトン 選手インタビュー】

大躍進を見せたネイションズカップ第一戦(第一戦の記事はこちら)から3週間と間を置かずに次なる舞台、カナダ・ミルトンで開催されたネイションズカップ第二戦。

チームブリヂストンサイクリング からは窪木一茂選手、橋本英也選手、太田りゆ選手が、そして機材サポートの小林優香選手と佐藤水菜選手が参戦しました。

太田選手は今季初の国際大会で、スプリントで¼決勝に出場と確かな手応えを得ることができ、窪木選手・橋本選手ペアのマディソンではパリ2024オリンピック出場に向けて重要な、UCIポイントを伸ばし暫定トップのポイント数を獲得。

今大会での各種目ごとの振り返りや今後に向けての課題を窪木一茂選手、橋本英也選手、太田りゆ選手の3名へインタビュー形式で伺いました。

【大会情報】

2022 The Tissot UCI Track Nations Cup - MILTON

日程:5月12日〜15日

場所:Mattamy National Cycling Centre(カナダ・ミルトン)

出場選手:窪木一茂・橋本英也・太田りゆ

大会詳細:https://tncmilton.com/event-info

大会映像:https://tissottracktv.uci.org/p/XQs93tvW

「心と体のバランスが取れていなかった」窪木一茂選手

ーー帰国から少し空いてしまいましたが、第二戦を振り返ってみてどうですか?

オムニアムでは納得行くリザルトは残せなかったです。マディソンは6位という順位で、第一戦に引き続きUCIポイントもしっかりと獲得できて、日本チームにとっても良い結果を残すことが出来たので、これからに弾みがつく気持ちでいます。


ーーマディソンでは最終周回のスプリントで2位を取られていましたが、狙っていたのですか?

そうですね。途中までポイントを取ることが出来ていなかったこともあり、まだ力は余していたので、最後のスプリントで倍点を取ろうという気持ちでいました。

最後に1位を取った選手が強くて10ポイントは獲得出来なかったのですが、2位で8ポイントを獲得し、最終順位が6位に上がれたので(その点に関しては)橋本選手とも「良かったのかな」と話をしました。

ーー反省点はどのようなところでしたか?

交代ミスが目立ってそこで力を消耗してしまったという反省点はあります。

やはりマディソンは交代の練習をしないと感覚で投げてしまうところがあるので、普段から交代の練習をしておけばもっと良いリザルトを残すことが出来たのではと思います。

(ネイションズカップ)第一戦のペアの今村選手とは1-2ヶ月前からクレイグコーチが指示を受けて、パートナーとして練習をする機会も多かったので(今回は)コミュニケーションの部分では違いがあったかなと思います。

ーーオムニアムはどうでしたか?

グラスゴーから数日しか経っていないということや、急遽ワクチンを打ったこともありコンディションがそこまでよくなかったです。

ただ、それでも監督にも行けると言われてたし、自分でも行けると思っていました。心と体のバランスが取れていなかったと思います。コンディションが良ければもう少し行けたかなと思います。

ーー今は体調はどうですか?

今は元気です。ご飯も食べられていますし、気持ちの整理もついたので次の大会に向けて調整できていると思います。

ーー良かったです。次はアジア選手権ですね。

はい。6月末にアジア選手権があるので、6月一杯しっかりと仕上げて調整していくところです。

ーー期待しています。ありがとうございました!

<リザルト>

マディソン:6位

スクラッチ:20位

オムニアム:11位

「窪木さんの手は逞しかった」橋本英也選手

ーーネイションズカップ第二戦はいかがでしたか?

出場したマディソンかエリミネーションの両方かどちらかでメダルを取りたいと思って走っていたのですがエリミネーションで失敗してしまいました。

エリミネーションは、前回のグラスゴーよりはかなり楽に、上手い位置取りでレースをうまく進めることが出来たのですが、脚を残した状態で除外されてしまって悔しい思いをしました。

ーー除外されてしまった時はどんな状況だったのですか?

ラスト7人で、僕が先頭で走っていました。残り7人の時に先頭にいて除外されるということは今までの経験上なかったので、ある程度踏んでいれば残れるなと思っていたのですが、最後の最後で刺されてしまってちょっと失敗してしまったなという感じでした。

前回のグラスゴーでは序盤で後ろの方の位置でかなり脚を使ってしまったので、今回は前の方で展開しようと意識していました。最後の最後まで出し切るというよりは、"残り7人だったらこのくらいの力で走っていれば大丈夫"という気持ちで走っていたところで終わってしまったので悔しいですね。

ーーマディソンに関してはどうでしたか?

所々交代ミスが目立って、後半に向けての走り方が上手くいかなくて表彰台には入ることが出来ず...。ただUCIポイントを取るという意味では最低限の順位で終えられたかなという結果でございました。

ーー橋本・窪木ペアのマディソンを初めて見たのですが、今までもお二人のペアはあったのですか?

窪木選手と組んだのは結構久々で、2018年か2019年のアジア選手権の時ぶりだったと思います。窪木選手の手は大きくて逞しかったです。(笑)今村と窪木さんは手が大きくて、体重差なども関係あるのですが、人によって手の相性はあると思います。

ーー握った時の感覚が違うのですか?

そうですね、窪木さんは逞しい感じがします。

ーー最後のポイント周回で2位を獲得し、順位が大きく上がりましたよね。

そうですね。今回のレースは強いメンバーが沢山ポイントを重ねていて下の順位のメンバーは1ポイントでも順位が入れ替わるような感じだったので、最後のポイント周回が一番大事なところでした。窪木さんが良い位置取りをしてくれて僕に託してくれたので最後に向けての良いバトンを受け取って、ダブルポイントの一番美味しいところを取りに行けました。

ーー次に目指すのはアジア選手権ですね。

そうですね、次の目標はアジア選手権なので、活躍できるように頑張りたいなと思います。

ーー楽しみにしています。ありがとうございました!

<リザルト>

マディソン:6位

エリミネーション:7位 

「自信を持って、楽しんでレースが出来た」太田りゆ選手

ーー昨年の世界選手権ぶりの国際大会となりましたが、いかがでしたか?

ケイリンの結果だけを言うと残念な結果だったのですが、スプリントの収穫が大きかったのでかなりポジティブな印象で終えられた大会だったなと思っています。

ーースプリントでは、オリンピック金メダリストのバオ選手(中国)から一本取りましたよね。

そうですね。オリンピックでも世界選手権でもメダルを取っている選手相手に一本取れて、それもたまたまではなく、自分の力で勝ち取れた勝利だったのですごく良かったです。

ーー金メダリストとの一戦は心持ちも違いましたか?

それが、特になかったんです。そこが、「自分が強くなれたかな」と思えたところでした。タイムも0.1秒くらいしか違わなかったので、だったら勝てるなと思えた。

ーー気持ちの面でも自信がついて、臨めたレースだったのですね。

そうですね。実戦形式のトレーニングを積んでいたので色々なテクニックやパターンが体に染み付いていたので、考えなくても自然と体が動くようになっていました。その状態でレースに向かうことが出来たので、自信を持って、楽しんでレースが出来たなという印象があります。トレーニングの効果がすごくあったなと思います。

ーー去年の世界選手権からトレーニング方法も変わったのですか?

今までは速く走る練習だけだったのですが、(ナショナルチームのコーチの)体制が変わって、対戦の練習をするということが大きな違いでした。

去年の世界選手権は10位で、ハロンのタイムも自己ベストを出すことが出来たので結果は悪くなく、対戦も行けるところまでは行けたという感覚はありましたが、更に上に行けるようになったのは、ジェイソンコーチとアンソニーコーチになってスプリントの具体的な走り方の練習をすることになったことです。(自分が)前のパターン、後ろのパターンなど同じナショナルチームのメンバーと色々な展開を試す実践的なトレーニングによって、レース中に頭で考えなくても体が動いたので今回の結果に繋がったと思います。

ーー今回は特にスプリントに力を入れていたのですか?

3種目の中で特にどれに力を入れるということは考えずに全ての種目に力を入れていたのですが、どこか「スプリントをがんばりたい」「スプリントでもっと出来るのではないか」と自分に期待していたところはあったかなと思います。

ーー手応えを感じられるレースになりましたね。

そうですね、たまたまの勝利ではなかったのですごく手応えを感じられました。

ーーチームスプリントはどうでしたか?

3人の調子をちゃんと合わせてやらないと難しいなと思いました。カナダが失格をしたことなどもあってですが、昨年の世界選手権は今回と同じメンバーで4位でタイムも良かったので、今回(の6位という結果)はあまり良くなかったのではと思います。

ただ、各自の200mのタイムだけを見れば他の国のメンバーにスピードは負けていないので、各々が自分のポジションのテクニックを磨くということを真剣に考えなくては行けないなと思いました。

ーー太田選手のポジションで意識されているところは何ですか?

二走はチームのトップスピードを決めるかなり重要な役割だと思っているので、自分の責任は大きいなと思っています。

一番速くなくては行けないポジションなので、一走との車間を広めすぎず、狭めすぎないことが大事です。広めすぎると2周するのに脚を使いすぎてしまて最後が辛く、狭めすぎると交代の時にバックを踏んでしまい、そこからまた立ち上げなくてはいけないのでロスになってしまう。

一走のペースやタイミング、そしてバンクの形も毎回同じではないのでどの位の距離を詰めて行かなくては行けないのかまだわからないというのが正直なところですが、それは本番でしか体験できないのでその場その場で臨機応変に対応できなくては行けないと思います。

ーー次の大きな大会はアジア選手権ですね。

そうですね。まだ何の種目で出るかなどは決まっていないですが、何に出ることになっても慌てずに本番までにしっかりとカラダを作っていきたいと思います。

その後は、世界選手権の前にジャパントラックカップも開催予定で、海外からの選手も来るようなのでしっかりとタイムも狙っていきたいと思います。日本記録を更新することは今年の目標の一つでもあるので、チャンスだと思っています。

ーー応援しています。ありがとうございました!

<リザルト>

スプリント:8位

チームスプリント6位:日本チーム(太田りゆ・佐藤水菜・梅川風子)

ケイリン:17位



<機材サポート選手リザルト>

小林優香

スプリント:13位

ケイリン:3位

佐藤水菜

ケイリン:2位

スプリント:16位

チームスプリント:6位

機材サポートの小林選手、佐藤選手もそれぞれケイリンで3位、2位と大健闘しました。

皆さま、今回も沢山の応援をありがとうございました。

6月18日〜22日にインドで開催されるアジア選手権には、TEAM BRIDGESTONE Cyclingから窪木選手、橋本選手、今村選手、兒島選手、松田選手、太田選手の6名、機材サポート選手の小林選手、佐藤選手の2名が参加予定です。

引き続き、応援をよろしくお願いいたします!

ネイションズカップ第一戦の記事はこちら

Interview&Text: Lynn Watanabe 写真提供:JCF

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