UCI-3レースで沢田が2位、中盤にパンクし勝利を逃す【MTB CJ深坂自然の森】

レース名:MTB クップ ドュ ジャポン クロスカントリーレース in 深坂自然の森
開催日:2020年9月26〜27日
開催地:山口県下関市・深坂自然の森
カテゴリー:UCI-3
コース長:3.9km x 7= 27.3km
TEAM BRIDGESTONE Cycling参加選手:沢田時、平野星矢

2020年度、日本における初UCIレースとなったクップ ドュ ジャポン/クロスカントリーレース in 深坂自然の森にて、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの沢田時がXCOにて2位となりました。中盤の先頭争いにて痛恨のパンク、追い上げましたが届かずの2位でした。初日XCC(ショートサーキット)、二日目XCO(クロスカントリー)の2競技を、小林MTB監督がレポートします。


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今季初の国内UCIレース。3月のUCIレース中断から6カ月が過ぎ、チームはチェコでのワールドカップへ意欲を示していた週末だったが、残念ながら関係諸機関との協議の上、渡欧のキャンセルを決断し、バックアップとしてエントリーしていた山口県下関でのUCIレースに向かった。

結果、沢田選手が国内トップ選手全員が出走した中で積極的に先頭をコントロールし、中盤にパンクを負う展開ながら何度もプッシュを繰り返して2位となった。平野選手は全日本選手権に向けたコンディショニングのためにトレーニングレースとして臨んだが、予想以上に手応えのある走りが見られ、4位でのフィニッシュとなった。



(沢田)


今季、国内レースはワールドカップに習ったXCCとXCOを組み合わせているが、この下関も同様。XCO決勝前日にXCCを行い、トップ20に優先的なスタートグリッドを与える仕組み。XCOではスタート直線路からオフロードに侵入する際の位置取りがレース全体に与える影響が大きい。よってXCCではXCOのスタート最前列8名枠(8番手まで)に確実に入ればいい。

そして、今回のXCOで選手に求めるチームオーダーは単に勝つことでもUCIポイントの獲得でもない。11月8日に行われる全日本選手権での勝利のためにある。もちろん、今季国内レースで3連覇できる権利は沢田選手のみ。チームフルメンバーでの国内開幕レースでもあり、強いチームとしてのクオリティーを求めることに変わりはない。



(平野)


コースは自然公園とその山林の中に引かれた自然体。差し込む太陽の光がゼブラとなるコースは晴れる程に視界を狂わす。バランスを崩しやすい沢渡りや小さな凹凸が走りの流れを止め、沢渡りも何度かあり、パンクが心配な鋭利な石が散らばっている。人工的なドロップオフ後の避けられない位置にある溝切やR角のきついコーナー真正面に立つ杉の木。そして少しでも降雨があれば唐突に滑り出す土質。これらのラフなコースをクリアするには非常に高い集中力が求められ、ワンミスでレースに大きな影響が出る。

併せて、集まったライダーは国内トップエリートばかりのため、レースをしながらライバルたちの走りの質や体調、機材セッティングを観察することができ、6週間後に迫った全日本選手権での戦略を明確化できる。 



(平野)


*9月26日(土)15:20 XCC

日向はまだまだ暑く、日陰は涼しい午後3時過ぎ。出走が限定されるエリート24名が一斉スタート。ショートカットコース3周のレースが争われた。スタート間もなく沢田選手が先頭に立ってレースをコントロールした。先頭パック4選手のペースがかなり速く、1周目を終える時点で追走するパックは出来ず、平野選手は単独で5番手。

後続との差をジリジリと広げていく先頭パックは2周目も沢田選手が引っ張る展開。特に登坂でのアグレッシブな走りは彼の好調さを表していた。平野選手は今季初の国内レースで自分を試すような走り。前を追うキレのあるダンシンングも魅せている。

ところが3周目の沢渡りで沢田選手がミスして大きくタイムロス。その隙を見逃さないライバルたちが先行し、沢田選手は先頭の選手を容認しながら3選手によるスプリントフィニッシュで3位となった。平野選手は終始マイペースでレースをこなし、想定範囲の6位でフィニッシュ。チームとしては計画通りの成績でXCCを終えた。



*9月27日(日)14:00 XCO

フルコース7周回で行われたXCO。秋晴れの日差しの中、35名のエリート選手がスタート。最前列から先ず飛び出したのは平野選手。やはり彼のスタート精度は高い。沢田選手は3番手程でアスファルトの登坂を進み、トレイルに入るところで2番手。そして間もなく先頭に立ち、XCC同様にファーストラップからレースをコントロールした。

2周目、11分台と予想より30秒も速いラップを刻む先頭集団は早くも4名に絞られた。沢田選手は巧みに先頭集団をコントロール。6カ月半ぶりのレースとなった平野選手は、現在の体調と会話しながらマイペースで7番手。



(沢田)


3周目、互いに先頭に出ることを伺いながら牽制し合う中で、ダウンヒルを攻めた沢田選手のリアタイヤのエアが少しずつ漏れ始めていた。痛恨のパンクだった。ここで2名の選手にかわされ、3番手でフィードゾーンへ。ホイール交換時の14秒のビハインドを加え、既に先頭とは60秒以上の差となってしまった。一方、平野選手は速いレース展開に苦しむ先行選手を振り切り6番手に上がってきた。

4周目、平野選手に彼本来のキレのあるダンシングが見られるようになってきた。スタートで重々しかった身体の動きが潤滑され、どんどん前との差を詰めていき5番手に上がってきた。沢田選手もレースを諦めていない。2番手の背中を1ラップでロックオン。



(沢田)


5周目、沢田選手は得意パートでプッシュし2番手に上がった。しかし2番手争いの中で先頭とのラップ差が広がってしまう。MCも先頭選手の盤石のレースをコールするが、まだレースは2周回も残しているのだと指示した。こうした場面で再びプッシュできる力こそが日本一を引き寄せるに違いない。平野選手はイーブンペースでラップを落としていく選手を着実に捉え4番手に。

6周目、レースは80%カットルールで出走者数の半分にまで減っていた。先頭ラップは12分前後のイーブン。2番手の沢田選手は懸命に先頭を追うが、その差は縮まらない。4番手の平野選手はポディウムまで60秒。



(平野)


7周目、ファイナルラップ。1周目から最後まで速いラップで展開された高速レースで完走したのは何名だったのだろう。沢田選手と平野選手は前後差に関係なくフィニッシュラインまでバイクを前に押し出し続け、2位と4位でフィニッシュ。

TEAM BRIDGESTONE Cyclingのワンツーは全日本選手権でのお楽しみにとって置いて欲しい。私たちは残された貴重な時間で過去最高のパフォーマンスを手に入れ、誰をも惹きつける走りで日本一を獲得する。勝つと決めて勝つ。


最後に。このような厳しいコロナ禍で、国内UCIレースが開催されたこと、その開催への尽力に敬意とお礼を申し上げ、スポンサー、サプライヤー、ファン、家族の変わらぬサポートに感謝します。

皆様の引き続きの応援を宜しくお願いします。



(沢田、平野)


【リザルト】2020/9/27 MTB クップ ドュ ジャポン クロスカントリーレース in 深坂自然の森
3.9km x 7= 27.3km

1 山本幸平(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)1:23:09
2 沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+2:24
3 北林力(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)+2:41
4 平野星矢(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+3:42

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