男子ケイリン/脇本が銀メダル「行くべき時を直感で感じて行動した」【2020UCIトラック世界選手権】

男子ケイリン/脇本が銀メダル「行くべき時を直感で感じて行動した」【2020UCIトラック世界選手権】


レース名:2020 UCI TRACK CYCLING WORLD CHAMPIONSHIP
種目:男子ケイリン
開催日:2020年2月27日(木)
開催地:ドイツ/ベルリン ベロドローム
TEAM BRIDGESTONE Cycling 出場選手:脇本雄太


2月27日、トラック世界選手権2日目となるこの日、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの脇本雄太が男子ケイリンにて2位、銀メダルを獲得しました。予選から決勝に至るまで、自信と共に先行逃げ切り型でレースに臨んだ脇本、決勝での先行をオランダ選手に抜き返され、その選手をゴールで差し切れず2着となりました。



世界選手権での男子ケイリン種目。現在UCIトラック オリンピック ランキングで1位である日本にとっては、メダルを狙える種目です。ただ6選手が同時に出走する短距離種目のケイリンは、その流れの中で何が起こっても不思議ではありません。

ケイリンは、予選から決勝まで、いくつかのヒート(対戦)を走り、その上位数名が次のラウンドに進出するというルール。今回は1回戦、準々決勝、準決勝、決勝(1-6位、7-12位決定戦)という4ラウンド制で行われました。



今日の脇本の走りには、予選の時点から光るものがありました。まず1回戦では、全6周の前半、後方位置から機会をうかがい、残り2周以上を残したところから早めのスプリントをしかけ、後方を置き去りにゴールします。この後方から前に出る抜き方も力強く、なめらかなものでした。



その中盤の早い時点からスプリントを開始し、先行したままゴールを狙う走りを脇本は、1回戦だけでなく準決勝まで行います。

周りの選手も明らかに脇本をマークしているのですが、そのマークを力とライン取りでスルリといなし前に出る脇本。観客も脇本の美しい抜け方に盛り上がり、会場アナウンスは「バキモト!(ドイツ語ではWをバ行で発音)」の名を連呼します。



「(ロングスプリントで勝負し続けたのは)それぐらいいける自信があって、本当にできるのかという挑戦でした。長くても自分ならいける、という自信を持ち、実際にうまくいって良かったなという感じです。

(走りに)迷いは全くなかったです。自分がいくべき時だというのを直感で感じて、そのまますぐ行動する、というのがうまくいきました」(脇本)



危なげない走りとはまさに今日の脇本。そして迎えた決勝戦=1-6位決定戦。ペーサーの後ろについて走る前半では、前方2番手に位置して間合いを図り、残り2周を見る最終コーナーを前に脇本は仕掛けました。



「やはり来た」、これを戦う選手たち、そして観客も感じたでしょう。脇本の動きに備えていた選手たちは反応しますが、付いていけたのはハリー・ラブレイセン選手(オランダ)のみ。さらにラブレイセン選手はそのまま脇本を抜き去り、最終周回へ脇本を先んずる形で入ります。



そして最終周回、脇本はラブレイセン選手の後ろにつき、最後の機会をうかがいます。最終コーナーを前に脇本が最後のアタック、外側から速度上げてゴール勝負に挑みます。じわじわと脇本の前輪は先行選手に近づきますが、その距離あと少し足らず。内側を走り切ったラブレイセン選手に遅れてのゴールとなりました。




「自分の中では金メダルも獲れるかと思ってたんですが。メダルを獲れてホッとしている一方で、なんで金を獲れなかったんだろうという悔しさが残っています」

という脇本ですが、心技体、すべて万全で臨めたと言います。

「これ以上ないという状態で臨めたと思いますし、その中でこの結果だったので納得はしています」



この世界選手権を終え、そして脇本の2位という結果により大きくUCIポイントを稼いだ日本は、男子ケイリンでの出場枠を1枠分、確保できた形となります。

気になる代表候補選手の選考ですが、正式な発表はまだ先となります。ただ、日本トラック短距離コーチであるブノア・べトゥ氏は「脇本は大きくポイントを稼いでいる」とコメント。

脇本が東京2020オリンピックの出場候補選手となる期待は、今日の銀メダルでさらに大きくなりました。



「自分の中で東京2020オリンピックでのメダルに対して前進した感じです。次こそ金メダルを獲るという目標もできましたし、それに向かって自分がどういう風にやっていけばいいのかということも分かり、いい経験だったと思います」(脇本)


【リザルト】2/27/2020 男子ケイリン 
1 LAVREYSEN Harrie(オランダ)
2 WAKIMOTO Yuta(脇本雄太)
3 AWANG Mohd Azizulhasni(マレーシア)


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