男子オムニアム/橋本が3位に、転倒を喫するも表彰台守りきる【UCIトラック'19-20W杯第5戦 オーストラリア】

男子オムニアム/橋本が3位に、転倒を喫するも表彰台守りきる【UCIトラックW杯第5戦 オーストラリア】

2019年12月14日、UCIトラックワールドカップ第5戦 オーストラリア大会の男子オムニアムにて、TEAM BRIDGSTONE Cyclingの橋本英也が3位を獲得しました。第3種目までに総合トップでしたが転倒を喫し、その影響が拭えないままの最終種目からの表彰台でした。これで橋本はW杯2度目のメダル獲得となります。



4種目を走り、獲得したポイントの総数が順位となるオムニアム。それぞれが20分ほどのレースを4種目こなすため、レース中の体力と合間の回復力も問われるレースです。橋本は今トラックシーズンに向けて、チームブリヂストンとしてロードレースも走ることで有酸素能力を鍛え、競輪選手としてゴールスプリント能力を磨き、万全の備えでシーズンを迎えていました。


前週に行われたW杯第4戦では4位に入った橋本。今大会ではメダル・表彰台の獲得を狙い、本人もそれなりの自信を備えていました。

前大会で4位だった原因は明白。第3種目エリミネーションで取られた反則が、最終成績に大きく響きました。そのため「攻めすぎない」ことをテーマにしていた今大会、橋本のレースが始まります。



第1種目:スクラッチ 10km(40周回) 種目1位、暫定1位

1周250mのトラックを40周回し、先着ゴール順に順位がつくスクラッチ。橋本はその身軽とも言える走りでレース全体を通して集団の前方、後方に位置を動かし続けながら機会を狙っています。

「競輪に参加させてもらっていることで、特にスクラッチでのゴールスプリントには自信がある」という橋本は、その言葉通りにラスト2周でするすると先頭に出てラストスパートへ。



数人に選手が追いすがりましたが、スプリントでは頭一つ抜きん出てのゴール。有言実行を果たしました。

第1種目 リザルトPDF



第2種目:テンポレース 10km(40周回)種目2位、暫定2位

2周目以降の毎周回、先頭の選手のみが1ポイントを獲得するテンポレース。ポイントとゴール順で順位が決まります。テンポレースは得意だという橋本の戦略は、このレースで目に分かる形で披露されました。

レース序盤こそ集団中盤でチャンスを見ていた橋本は、レーススピードが温まってきた頃から前方へと繰り出し、先頭ポイントを獲得し始めます。その橋本ともに上がってきた暫定2位選手、そしてもう1名の選手とで集団から逃げ出し、集団の後方にピタリとつけました。



橋本を含む3名の選手は、意図的に集団をラップ(周回追い越し)せずに、先頭ポイントを3名で分け合う形をとりました。この3名がレースを完全に支配しています。「レースはゲームですから、楽しまないと」と常日頃から公言する橋本、このテンポレースの運びは、まさにそのゲーム性を感じられます。



終盤に入り、後方から先頭3名に追いつこうと数名の選手が上がってきます。これを感じた3名は、残り数周回を残してあっさり集団をラップ。結果橋本は種目2位、先のスクラッチで2位だった選手が1位だったため、橋本は暫定2位に。


第2種目 リザルトPDF



第3種目:エリミネーション

毎2周回の最後尾選手が除外(エリミネート)されていくエリミネーション。除外された時点での順位が成績となります。

前大会のエリミネーションでは、イン側の走行禁止帯を走ったという反則を取られ、不本意な結果となっていた橋本。そのためレースでは慎重に位置どりを行っています。



レース中盤にて、第2種目で暫定1位だった選手が除外されます。集団の隙を見てするりと前に出る技術を持つ橋本、あとは順調に走りきれば、問題なく総合トップとなると思われましたが、好事魔多しとはまさにこのこと。橋本は後方の選手とタイヤが接触して大きく落車、レースはここで一時停止されます。



橋本は起き上がり、レースを再開しましたがその動きはぎごちなく、一度前に出たもののそのまま後退してエリミネート。結果8位に、しかしそれでも総合暫定1位に。ただ、レースを終えた後は会場からいなくなってしまいました。


第3種目 リザルトPDF



最終種目:ポイントレース

10周回ごとにあるポイント周回で、上位4名の選手が順位ごとに5、3、2、1ポイントを獲得するポイントレース。それをこれまでの3種目での順位ポイントに加算して最終順位が決定します。最終周回のみ倍ポイント、ラップをすると20ポイント獲得です。

このままレースを走らないのか、悪い想像されましたが橋本は、レース前10分ほどで、ようやく外に姿を見せました。外見からは損傷はないように見えます。



レースがスタート。会場のアナウンスは、現在のポイントリーダーである橋本の名を、「ハシモト、ハシモト」と幾度も呼び立てます。オーストラリアの会場も軽やかにスッと前に出る橋本の走りに好意的な雰囲気です。



しかしその反面、橋本の走りは鈍く、気がつくと後方に下がっている感じです。チャンスを見てスッと前に上がるセンスはそのまま、前半には1位ポイントを獲得もしますが、前を維持するのが難しそうに見えます。表情も厳しいです。



6点差の2位、その2位選手が橋本の鈍さを見たか、数名の選手と逃げ出しを図り、数周でラップ(周回追い越し)を決め20ポイントを獲得、2名の選手が橋本を逆転。橋本はのこり40周回で3位に。



その後に表彰台には絡んでこない選手数名が逃げ、周回ポイントを獲得。そして最終周回を前に橋本は再び加速、先行する1選手の次に最終周回ポイントを獲得し、3位を確定させました。



優勝が目前まで見えていただけに、3位表彰台獲得ではありますが、悔しさの残る表彰台となりました。

とはいえこの結果は、次に待つ世界選手権へ橋本が出場するのを確定させたことでしょう。



「またエリミネーションだったか、という想いです。前回のレースで無理に前に出て失敗したので、今回は下がろう下がろうと思っていったら、それで(タイヤを)持っていかれてしまいました。今後はエリミネーションの持って行き方を改善する必要があるかもしれませんね。

一度は金が見えていたところからの銅メダルなので悔しさはあります。世界選手権では、もっといい色のメダルを目指します」(橋本)


最終リザルトPDF

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