【JAPAN TRACK CUP 2025 II 】 マディソンで山本哲央ペアが2度目の優勝 スクラッチでは梅澤が勝利

5月29日から4日間にわたり、ジャパントラックカップ I &II が静岡県伊豆市にある屋内自転車競技場「伊豆ベロドローム」にて開催された。
チームブリヂストンサイクリングからは河野翔輝、兒島直樹、山本哲央、岡本勝哉、山下虎ノ亮、吉川敬介、矢萩悠也、梅澤幹太、三浦一真、木綿崚介が参加。そして松田祥位が日本競輪選手養成所から参加した。
トラックカップ ” Ⅱ ”として開催された大会3日目、4日目の模様を振り返る。

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JAPAN TRACK CUP 2025  I &II 

日程: 5月29日(木)〜 6月1日(日)
開催場所:  伊豆ベロドローム(静岡県 伊豆市)
出場選手: 河野翔輝、兒島直樹、山本哲央、岡本勝哉、山下虎ノ亮
吉川敬介、矢萩悠也、梅澤幹太、三浦一真、木綿崚介
松田祥位(日本競輪選手養成所 / チームブリヂストンサイクリング)
リザルト:https://japantrackcup.com/wp-content/uploads/sites/11/2025/06/2025JTC_COM1-114.pdf

世界の走りを日本で観戦

JAPAN TRACK CUP 2025 I が終了し、引き続き”II”が開催。
世界の走りを体感できる貴重な機会とあり、大会は盛況。土曜、日曜での開催とあり、さらにエンターテイメント色が強まった会場ではイベントやブースが多数盛り込まれた。長迫吉拓もコーヒーブースを出店して大会を応援。オリンピアンの淹れたコーヒーが飲めるまたとない機会となった。

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吉川がスプリントで決勝ラウンドへ

まずは男子スプリントに吉川が出場。
予選の200mフライングTTを9秒892で走ると、全体の9位で1/8決勝に進出。先着した選手が勝利するスプリント対決を行った。吉川は持ちタイムが近い相手との対戦となり、早い仕掛けで勝負に出たが残念ながら敗退し、ベスト16でレースを終えた。

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マディソンで山本ペアが2連勝

予選と決勝で争われた男子マディソン。
前日のマディソンに引き続いてチームブリヂストンサイクリングからはA(山下&木綿)、 B(岡本&矢萩)、 C(梅澤&三浦)の3チームが参加。さらにジャパンナショナルチームからはA(山本&窪木一茂)、B(河野&橋本英也)がペアを組み、日本競輪選手養成所から兒島&松田ペアが参加した。

紹介したすべてのチームは無事に予選を通過し、30km=250m×120周の決勝へ進む。レース序盤はポイントが分散し、チームブリヂストンサイクリングB(岡本&矢萩)が好発進。強豪ニュージーランドチームやオーストラリアチームと競った。

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6回目のポイント周回が終了した直後、河野(ジャパンナショナルチームB)がスピードアップ。これをきっかけに集団が大きく分散。
この動きに反応できたニュージーランドチーム、オーストラリアチーム、そしてジャパンナショナルチームA(山本&窪木選手)が最終的に優勝争いを演じた。
この絞り込みの後、力をみせたのがジャパンナショナルチームA。

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山本のリードから窪木選手のポイント奪取を繰り返し、暫定トップに上り詰める。ニュージーランドチームと最終周回までポイントを奪い合ったが、ジャパンナショナルチームAは最後までポイントを加算して優勝。同種目で2連勝を飾った。

【リザルト】

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1位 ジャパンナショナルチームA(山本哲央&窪木一茂)57pt
2位 ニュージーランド(SEXTON Thomas & LEAHY Conor)56pt

4位 ジャパンナショナルチームB(河野翔輝&橋本英也)40pt
5位 チームブリヂストンサイクリングB(岡本勝哉&矢萩悠也) 28pt
6位 日本競輪選手養成所(兒島直樹&松田祥位) 27pt
11位 チームブリヂストンサイクリングC(梅澤幹太&三浦一真) -20pt
17位 チームブリヂストンサイクリングA山(下虎ノ亮&木綿崚介)

スクラッチでは梅澤が優勝

予選、決勝で争われた男子スクラッチレース。決勝には予選を勝ち抜いた河野、兒島、山本、岡本、矢萩、梅澤、木綿が進出した。なお、3日目のマディソンで落車した松田は大きな怪我こそ無かったが、大事をとって以降のレースには参加せず、静養をとった。

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前半は集団一つのままレースが進むが、韓国チームらの仕掛けをきっかけに山本、梅澤、木綿を含む5名の逃げグループができる。集団の隙をついた5名はそのまま集団追い抜き(+1lap)に成功。勝負はこの5名に絞られた。

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終盤に向けてオーストラリアチームがペースを上げると、梅澤がこの後ろに控えてスプリントを待つ。最終周回で前に出た梅澤がトップでフィニッシュ。さらに梅澤の後ろで控えていた木綿も粘って4位と新加入選手が結果を残した。

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【リザルト】

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1位 梅澤幹太 チームブリヂストンサイクリング
2位 MIN Kyeongho 韓国ナショナルチーム

4位 木綿崚介 
5位  山本哲央 
8位 河野翔輝 
11位  矢萩悠也 
18位 岡本勝哉 
19位 兒島直樹 

エリミネーションでは岡本の5位がチーム最高位

予選のスクラッチレースを経て、兒島、山本、岡本、山下、矢萩、梅澤が決勝へ上がった。2周ごとに最後尾に位置した選手が1人ずつ脱落していくエリミネーション。
終盤まで粘った岡本が5位、児島が6位と上位を確保した。

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【リザルト】
1位 窪木一茂選手 ジャパンナショナルチーム
2位 EATHER Kurt オーストラリアナショナルチーム

5位 岡本勝哉 
6位 兒島直樹 
9位  矢萩悠也 
11位  山本哲央 
15位 梅澤幹太 
19位 山下虎ノ亮

ポイントレースでも梅澤がアグレッシブに攻める

予選と決勝で争われた男子ポイントレース。決勝22名の枠には河野、山本、山下、矢萩、梅澤の5名が名を連ねた。

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30km=250m×120周のレース前半はややスロー気味のスタート。優勝候補選手が静かに動く中、チームブリヂストンサイクリングの選手らがしたたかに加点する。中でも梅澤が積極的に前半から得点を重ね、集団追い抜きを達成(+20pt)すると、レースリーダーへ。後に続いた矢萩もラップ(集団追い抜き)で加点し、上位で争う。この間、優勝候補であり、この後の展開に期待がかかっていたアジアチャンピオン・山本が無念の落車。ダメージは少なかったが、レース中盤でレースを降りた。

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その後も梅澤が休まずポイントを加点。インドネシア、韓国、オーストラリアの選手とポイントを奪い合う。
スプリントがあまり得意ではないという梅澤は後半も早めに仕掛けてポイントを奪取していくと優勝が見えてきた。
残り10周回の時点でもトップでレースを進めた梅澤は、最後のポイント周回でも上位を抑えれば優勝という状態。しかし、後半から鋭い追い上げを見せていた窪木一茂選手(ジャパンナショナルチーム)が集団追い抜きを果たすと梅澤を逆転。
梅澤は最終周回で3着以上でフィニッシュしなければならない状況だったが、力を使い切っており、5着でフィニッシュ。この種目2位でレースを終えた。

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【リザルト】

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1位 窪木一茂 ジャパンナショナルチーム 50pt
2位 梅澤幹太 チームブリヂストンサイクリング 46pt

6位 矢萩悠也 チームブリヂストンサイクリング 26pt
9位 河野翔輝 チームブリヂストンサイクリング 2pt
DNF 山下虎ノ亮、山本哲央

選手コメント

山本哲央

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ーマディソンについて
「今日も勝つことができ、素直に嬉しいです。
ですがやはり強いメンバーが集まっているレースなので、当初のプラン通りにレースを進めることができませんでした。窪木選手の力もあってなんとか勝つことができた感じです。
(窪木選手)はレース中もコミュニケーションを多く取ってくれるので、走りながら臨機応変に対応する姿勢を学べました」

木綿崚介

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ースクラッチについて
「決勝レースでは、常に速い展開で、ついていくのが精一杯でした。気づいたら集団から抜け出せていたので、これはラップ(集団追い抜き)できるんじゃないかと思い、そこからは必死に食らいつきました。
最後も表彰台を狙えるのはわかっていましたし、スプリントした位置が良かったのでいけるかと思いましたが、スピードがまだまだ足りないですね。
ただ日々成長できていることは感じています。伊豆ベロドロームでもチームで練習させてもらえるので、エリートカテゴリーの走りを勉強させてもらっています」

梅澤幹太

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ースクラッチについて
「世界クラスの強い選手がいた中で優勝することができて嬉しいです。
普段の作戦通り、逃げを打つプランで自分の強みを出した結果、勝つことができました。
今日は現地で応援してくださる方も多い中で、活躍する姿を見てもらえたので、その点も含めて良かったと思います。今日応援してくださった皆さん、そしてスポンサーの皆さまにも、感謝しています。引き続き応援のほどよろしくお願いします」

4日間に及ぶ、ジャパントラックカップ I &IIが閉幕。
山本がマディソンで2勝と梅澤がスクラッチで優勝し、レベルの高いレースで複数の勝利を掴むことができた。
また今回、チームの中距離メンバー全員が出場しており、若手選手を主体とするチームにとっては国際大会で多くの経験を積める貴重な場ともなった。今後もレースでの経験を力に変えて、さらに大きな舞台で活躍できるよう進化し続けたい。

Text :Ryo Kodama
Photo :Satoru Kato , Ryo Kodama

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