アジア選手権は、パリ2024への通過点【アジア選手権 選手インタビュー】

6月18日〜22日にインド・ニューデリーで行われたアジア選手権。TEAM BRIDGESTONE Cyclingから参加した6名は個人競技・団体競技合わせて6種目で優勝し、多くのメダルを持ち帰ってくれました。今年10月に控える世界選手権に向け、弾みのつく好発進が出来たと思います。

そんな帰国後すぐの6人へ、今回のアジア選手権についてインタビューを行いました。

素晴らしい結果で終えたアジア選手権でしたが、選手全員がこの結果だけに満足せず、既に世界選手権、そしてその先につながるパリ2024に向かっています。

窪木一茂 「アジア選手権は、パリ2024への通過点」

ーーチームパシュート、マディソンの優勝、おめでとうございます。

ありがとうございます。ただ、まだここは通過点だと思っています。

ーー10月には世界選手権がありますね。今回のアジアでの戦い方とヨーロッパの戦い方とはどのように違うのでしょうか。

そうですね。アジアでのレースは、他のチームの全員が僕らをマークしてきて、そこから自分たちでレースを作らなくてはいけない展開だったと思います。

UAEなどを見ていると分かるのですが、彼らはずっと日本の後ろについていくということを徹底してやっていました。それを振り切っていかないと勝てないレースだなと思いました。ただ今回はレース系のマディソンでもメダルを獲れたことは良かったなと思います。

ーーチームパシュートのタイムについてはいかがですか?

決勝では追い抜き勝ちで正式な記録は取れなかったのですが、恐らく3分52秒後半でした。日本記録に近いタイムですし、次に期待してもらえるタイムだったのではと思います。

ただ、3分50秒を切っていかないとパリ2024出場は難しですし、それが現実です。(チームパシュートの出場が叶わなかった)東京パリ2024のようにならないように選手・スタッフ・監督も気合を入れていかなくてはいけないなと思います。

チームパシュートはチームが一番力を入れている種目です。チームとしても、この種目で必ず出場したいと思います。

<リザルト>

チームパシュート:優勝

マディソン:優勝

橋本英也 「今季は調子が上がっていなかった中、優勝できて良かった」

ーースクラッチ、チームパシュートで優勝おめでとうございます。アジア選手権を振り返って感想をお願いします。

今まではアジア選手権ではオムニアムなどの重要な種目を担当させていただいていましたが、今回はコンディションがそこまで上がらず、サブの種目のスクラッチと、団体種目のチームパシュートに出場しました。それでも結果は求められている中だったので、優勝することができて良かったです。

ーー個人種目のスクラッチはどうでしたか?

ヨーロッパの前へ前へというレースと比べるとアジアでのレースは後ろへ後ろへ引っ張るようなレースという違いがあります。

予想した通りに常にマークされていて、その中でも自分は一番マークされた立場でした。その中でも脚を使いつつ、最後のスプリントに向けて組み立てていたので優勝できて良かったです。

ーーチームパシュートはいかがでしたか?

チームメイトがいい走りをしてくれました。決勝で自分の代わりに走った松田も良い走りをしてくれましたし、兒島も長く牽いてくれました。優勝できたのは彼の力に依るところも大きかったと思います。

ーー直前はチームパシュートの練習が多かったのですか?

そうですね。チームパシュートでパリ2024に出ることが一番人数を出すことができるので今回は特に力を入れていて、無事世界選手権の枠も取れたので良かったです。

ーー世界選手権も期待しています。ありがとうございました。

<リザルト>

チームパシュート:優勝

スクラッチ:優勝



今村駿介選手 「次の世界選手権が、パリ2024へのスタート」

ーー今村選手、三冠おめでとうございます。アジア選手権を振り返っていかがですか。

フィジカルの積み重ねが出来てない状態で少し不安を抱えながら向かいました。個人種目は自分の結果だけですが、団体種目は世界選手権に出れるか出れないかというラインだったので不安でした。

ーー結果的には団体種目のチームパシュートでも優勝でしたね。

他のメンバーが強かったので一応メンバーに入っていましたが、どうにか走り切れたなという感覚でした。

ーー個人種目のオムニアムはどうでしたか?

(橋本)英也さんがずっと三連覇していた種目ですし、勝てると思っていたので逆にそのプレッシャーがありました。ただ、一種目目のスクラッチが終わってからは余裕が出て自分がレースを作ることが出来たかなと思います。

ーー完全試合と言われた程の素晴らしい結果でしたよね。

アジア選手権だったらそのくらいで走れていないといけないですが、勝つことが最重要だったのでそこは達成できて良かったです。

ーーマディソンは如何でしたか?

(距離が通常の50kmとは異なる)30kmなりのキツさがありました。自分達が風を受けてレースを展開したので、体力も削れました。力の差はあったので、その点をカバー出来ましたが、レースの最後では二人ともガクッと疲れていたのでフィジカルの弱さも感じました。

最終日は全種目日本が勝っていたので、最終種目のマディソンで「負けられないな」とは思っていました。ランキング的にも世界選手権には出られるか微妙なラインにいたので大陸選手権の枠が取れたことは大きいですね。

ーー次は世界選手権ですね。

パリ2024に向けてはそこからがスタートです。あと3ヶ月程あるので、しっかり休んでから全開で自信を持って臨みたいと思います。

<リザルト>

チームパシュート:優勝

オムニアム:優勝

マディソン:優勝



太田りゆ 「アジアチャンピオンとして、恥じないように臨みたい」

ーースプリントで日本人史上初のアジアチャンピオン、おめでとうございます。決勝の相手はいつも一緒に練習をされている小林選手でしたが、彼女と戦う難しさはありましたか?

ありがとうございます、すごく嬉しいです。そうですね、お互いに強み弱みは十分に理解している相手だったので、作戦を練って挑んだというよりは、(小林)優香ちゃんのペースに持っていかれないようにということは意識していました。

ーーチームスプリントは銀メダルと悔しい思いもされたかと思いますが、スプリントまでの切り替えが素晴らしかったですね。

チームスプリントでは金メダルだけを狙っていたので2位で「ずーん」と落ちてしまいましたが、中一日あったことと、「スプリントでは優勝しないと」としっかり切り替えて臨むことが出来たと思います。

ーー次は遂に世界選手権ですね。

アジアチャンピオンにはなりましたが、ヨーロッパの選手と比べた時にまだまだ足りない部分が沢山あります。世界選手権に向けてトレーニングも変わり、追い込む時期に入ってきたと思います。

ただ、アジアのレベルが低いということは絶対にないので、アジアチャンピオンとして恥じないように臨みたいです。

ーー世界選手権へ向けてのトレーニングとは具体的にどのように変わっていくのでしょうか。

ウェイトトレーニングもトラックのトレーニングも満遍なく基礎のフィジカル面を上げていくというトレーニングになってきます。

ーー応援しています。ありがとうございました!

<リザルト>

スプリント:優勝

チームスプリント:2位

兒島直樹 「感触も良く、上達を実感できた」

ーーアジア選手権、お疲れ様でした。個人種目のポイントレースはいかがでしたか?

アジアのレースは誰かがアタックするとすぐに潰されるという状況が続いてどんどん脚が削られて難しかったです。ポイントレース系のインターバルのトレーニングが積めていなかったのでそれも敗因かもしれないです。2位の選手には最後のスプリント勝負で逆転されてしまい、すごく悔しかったです。

ーーチームパシュートでは優勝おめでとうございます。

ありがとうございます。チームパシュートは本番前のトレーニングではバンクが走りにくいなとは思っていたのですが、当日はアドレナリンが出たのか練習時よりバンクの癖に困らずにしっかり走ることができました。

「調子が良いなら、通常より半周長い2.5周を牽いて良い」ということだったので予選で2.5周を牽いてみました。自分の感覚としては少しきつかったですが、僕が半周長く牽くことで、他の3人が少しでも休めればと思って。

自分の感覚としては良い感じで牽くことが出来たので良かったと思います。隊列がヨーロッパの時に比べると良いとは言えなかったですが、タイムも少しは上がりましたし、上達を実感しました。

ーー世界選手権も期待しています。ありがとうございました。

<リザルト>

チームパシュート:優勝

ポイントレース:3位

松田祥位 「目指しているタイムまではまだまだ」

ーー個人・チームパシュートと二冠おめでとうございます。優勝したお気持ちは?

優勝は嬉しいのですが目指しているところがパリ2024ですし、まだ目指しているタイムとは差があるのでまだまだという感じですね。

ーー個人パシュートはどのような気持ちで臨んだのですか?

自分のベストを出せれば優勝のタイムには乗れると思っていたので、自己ベストを出そうと思っていました。

ーー久しぶりの海外遠征だったのでしょうか。

1年ぶりで、トラックでの海外遠征は今回が初めてでした。トラック特有の、一発で決まってしまう緊張感はありましたが気負いせず普段通り走ろうと思っていました。

ーー食事なども問題なかったですか?

基本的にはレース前は持ってきたもので済ませていたので問題はなかったです。非常食のお米やお肉・お魚のパウチなどをしっかり持っていっていました。

ーー次は世界選手権ですね。

そうですね。個人パシュートは、タイムはそこまで伸びないと思うので、ギア比などを調整して自己ベストを出せれば良いなと思います。チームパシュートは、自分が抜けるタイミングで少し隊列が崩れてしまったところがあったので改善していけたらと思います。

ーーありがとうございました!

<リザルト>

チームパシュート:優勝

個人パシュート:優勝



<機材サポート選手リザルト>

小林優香

スプリント:2位

チームスプリント:2位

佐藤水菜

女子ケイリン:優勝

チームスプリント:2位

皆さま、今回も沢山の応援をありがとうございました!

チームはパリ2024に向けて走り出しています。

引き続き、ご声援をよろしくお願いいたします。

Interview&Text: Lynn Watanabe 写真提供: JCF



最新記事

Article

前の記事へ 次の記事へ