男子マディソン/窪木・今村ペアの確かな成長、世界と対等の走りに【UCIトラック'19-'20W杯第5戦 オーストラリア】


(今村)


UCIトラック'19-'20ワールドカップ第5戦・オーストラリア大会の男子マディソンに、TEAM BRIDGESTONE Cyclingとして参加した窪木一茂・今村駿介のペアが9位となりました。
順位こそ9位だったもののレース内容は充実し、ここ3週間の実戦を経て、世界と対等に戦える力を身につけました。



2名の選手がペアを組み、交代しながらレースに参加するマディソン。10周ごとにあるポイント周回通過の上位4位に5、3、2、1ptsの順で与えられるポイントを加算し合計得点を競います。ラップ(周回追い越し)は20pts、最終周回は倍ポイント。オムニアムの最終種目ポイントレースを2名交代で行います。



200周回=50kmの長い距離ですが、交代しながらの走りなので体力を回復させられ、そのペースはかなり速いもの。その速度の中でもブリヂストン選手2人、師弟のように練習を重ねてきた窪木・今村の走りは見劣りしていません。

序盤に2位ポイントを獲得したブリヂストン、中盤に向け4チームがグループを作って逃げるなか、追う集団の前方に居続け、全体のスピードを上げながらも先行グループへのブリッジを狙います。それは幾度か成功しポイント周回でポイント奪取に絡むものの、一歩及ばずといった展開が続きました。



(窪木)


窪木と今村の走りには大きく違いが見えます。交代直後には瞬時に先頭に出るほどの、あからさまに切れ味鋭い窪木の加速。そして速度を落とさず選手たちの合間を縫って前に出る、今村の持続力とライン取り。



(今村)

窪木がスパンと前に出ていい位置を取り今村を呼び寄せ、タッチを受けた今村がポイント周回までのトルクを稼ぐ。これまでよりも短いスパンで交代しているように見える2人、特性の違いを存分に活用して前方にて戦います。場内にはいくども『ブリヂストンが上がってきた!』のアナウンスが響きます。



その速度の高さから、レース後半まで1度しか起こらなかった周回追い越しを、先頭3チームが仕掛けます。今村は「すぐ近くにいたのに、力が足りず乗り切れませんでした」(今村)。数周後に先頭3名がラップを獲得、その瞬間に緩んだ集団のチャンスを見逃さなかった今村は勝負を仕掛けて独走スプリント、3周近くを走りきり1位ポイントを獲得します。



(今村)


オーストラリアとニュージーランドは先頭を争います。そこに続く数チーム、そして追う集団という主な形で終盤に突入。地元2国は巧みな戦術で先行ポイントを稼ぎ、他チームがそこに追いすがるという形。ブリヂストンは集団の速度を上げるべくいくども先頭から周囲を促しますが、終盤での疲れか協調が得られません。



(窪木)


最終周回の倍ポイントに向けて速度が上がります。大きく逃げる3チームを追い、残り3周を切ったところで今村が飛び出します。今村は最後全開でもがき切り、3チームがゴールしたのちの4位ポイントを最後に獲得。合計10ポイントを獲得して9位の結果となりました。

>>最終結果、ポイント獲得表はこちら



(今村)


レース後、今回レースでポイント獲得する走りをした今村は、次のように述べました。

「スタート前に2人で意識すべきところを確認して、しっかりレースを見て、コミュニケーションを取りながら進めました。結果の点数だけ見れば、これまでの大会と同じぐらいの点数ですが、内容は少しずつ良くなっていると感じています。

あとはフィジカル(体力)だなと感じました。戦術ももちろんですが、あともうちょっと力があれば、後半のラップの逃げにも着いていけたと思います。

結構きつくて、最後だからと思って耐えましたが、どうしても迷惑をかける形になってしまいます。もっともっと強くなって、最初からどんどんポイントを取っていける力をつけたいです」(今村)



(窪木)

一方で、このレースでは司令塔として、そしてある意味今村をアシストする形に徹した窪木は

「僕らは、もっと上の次元を見ているんですが、まだ実現できていません。でも今日はだいぶ前で走れていて、交代も上手くなってきていると思います。あとはラップに絡む走りを実現させ、もっと上の順位を狙いたいですね。

走るたびに良くなっています。経験を積ませてくれた環境に感謝ですね。今村も3戦連続で走ったから、それも大きな成長に繋がったと思っています。前戦より順位を上げられて良かったです」(窪木)



4位までのポイント獲得には一歩遅れ、総合順位こそ大きく上げられませんでしたが、確実に向上している2人の走りの質。この3戦にすべて参加した今村の成長、そして窪木の経験からくる確かな状況判断で、まだ始まったばかりとも言える日本マディソンの競技力を、一気に世界と対等にしました。

常に大切なのは実戦の数。ブリヂストンのトラック師弟コンビは、次のマディソンではさらなる上位を狙える力を身につけています。次の2人の走りと成績に、ぜひご期待ください。


【リザルト】
1 オーストラリア 76pts
WELSFORD Sam / MEYER Cameron
2 ニュージーランド 60pts
SEXTON Thomas / GATE Aaron
3 フランス 41pts
KNEISKY Morgan / VAUQUELIN Kevin
9 TEAM BRIDGESTONE Cycling 10pts 
KUBOKI Kazushige 窪木一茂
IMAMURA Shunsuke 今村駿介

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