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中森 和崇 (デザイン課 デザイナー)
コラボプロジェクト発足当初からデザイン担当として参加。
商品コンセプト及びデザインコンセプトの立案に始まり、車体デザインやチャイルドシートデザインなど幅広く製作に関わる。

名波谷 英行 (開発部 開発1課)
フレームやリアキャリアに始まりフットガードやハンドルまで、チャイルドシート以外のすべてのパーツの設計を担当した技術者

HYDEE.Bプロジェクト発足!

中森
まずはHYDEE.Bの成り立ちからお話ししましょう。5年ほど前に「アンジェリーノ」を立ち上げたのですが、それは「安全を第一優先にしましょう」というタイプの電動自転車でした。おかげさまで好評を得ることができ、世の中的にはもう定着したという気がしていました。


アンジェリーノ

アンジェリーノ

名波谷
たしかに、「アンジェリーノ」は定着しましたね。しかし、その一方で、海外製のチャイルドシートをつけた自転車が街中で流行り出していることにも気づき始めていて。「やはり、よりオシャレなタイプの自転車を求められているのか?」という気持ちが芽生えるようになりました。


中森
そんな時に、VERYさんからコラボ企画のご提案をいただいたんです。「ベビーカーなど、私たちの周りにある子供用アイテムはこんなにオシャレなのに、自転車だけがオシャレじゃない。私たちは自転車をなんとかしたいんだ」と。この熱意はすごかったですね。VERYさんは我々よりもリアルな主婦の方に間違いなく近いわけですから、これはいいコラボ企画ができるのではないかと。


名波谷
我々も「できるだけオシャレにしたい」と思ってアンジェリーノを作ったのですが、やはり「オシャレと安全性のバランス」はとても難しいんです。身長が低い方や自転車の運転に不慣れな方、久々に自転車に乗る方でも安全に乗ってもらいたい。そういう安全ありきでオシャレにしたのがアンジェリーノだったんですが、HYDEE.Bはまずオシャレありき。つまりデザインがあって、安全面で基準をクリアできるところまであげていくというやり方になるんです。これは、いつもとは逆のアプローチでしたね。

中森
最初に考えていたのが、既存の電動自転車をいじってVERYモデルにしようと。これなら1年ぐらいでできるんですが、話し合っていくうちに「オシャレありきで一から作ろう」という話になりまして。結局、本格始動したのは2009年12月。VERYさんの要望を聞いてから何度もデザインを起こしてイラストにし、それをもとにまた打ち合わせをして取捨選択をしながらデザインを絞り込んでいきました。それから部品開発や試作を重ねていき、完成までは2年ぐらいかかりましたね。


名波谷
街中で観る自転車って、我々からするとアウトなものばかりなんですよね。チャイルドシートの装着を前提としていない小径自転車※1の後ろにチャイルドシートをつけると、重心のバランスが悪く、ウィリー※2しやすくなる。フレーム強度も決して十分ではない。つまり、安全面でグレーなんです。また、海外製のチャイルドシートは日本の安全基準を満たしていない。ただ、たしかにオシャレではあると。そこのもどかしさはずっとありました。我々が出すんだからちゃんとした安全基準は満たして、それでいてオシャレなやつを。そこはVERYさんが回答を持っているわけではないので、我々がデザインを優先しながらやるしかなかったんです。

※1 タイヤ径が20インチ以下の小型で軽量な自転車。

※2 前輪が宙に浮き、後輪だけで走行してしまうこと。


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こだわりのデザイン〜VERYならではの視点

タイヤ

HYDEE.Bは26インチ×1.95HEのマウンテンバイク風ファットタイヤを標準装備

中森
デザイン面に関して、VERYのスタッフさんは迷彩柄にすごくこだわりを持たれていたんですが、実際にVERY読者にすごく反応が良かったので驚きました。さすがだなぁと。あと、「タイヤが太いとスポーティーに見える」という意見もいただきました。僕らはロードバイク的な感じで「細いほうがスポーティーだ」という認識があったんですが、VERY読者はマウンテンバイクが流行った世代なので、ゴツゴツした太いタイヤのほうがスポーティーに見えるんでしょうね。これも、自分にはなかった考えだったので、新鮮でしたね。


名波谷
太いタイヤは空気がいっぱい入りますし、積載面でも有利に働く上に、パンクもしにくい。でも、タイヤを太くしたことによる設計の弊害も結構出てきまして。まず、泥よけも太くしなきゃいけないし、フレームの設計も随分と変わってしまう。あと、ブレーキの取り付け方も普通のものだとダメになってしまうので、それも変える必要が出てきました。


中森
何回も名波谷さんには試作をお願いすることになりまして。やっぱり、作ってみなきゃわからないってことが多かったですね。


名波谷
三人乗り対応にするかどうかが一番の悩みどころでした。VERYさんともよく話し合いましたが、どうしても三人乗り対応にすると設計要件が増えて、オシャレさを欠くデザインになっていく。最終的には「三人乗りが必要な方には安全重視のアンジェリーノ」と割り切って、HYDEE.Bは二人乗りでいくことに決めました。この決定は、コンセプトがブレないモノ作りにつながったと思います。

中森
作業を進めていくと、どうしてもデザイン重視の部分で問題が生じたりもしました。たとえば、「ヘルメットがあれば、チャイルドシート部分のヘッドガードはいらない。ヘッドガードはちょっと安全面に振りすぎなんじゃないか」という話になって。そうなると、我が社の安全基準ではまったく通らないんですよね。ですから、安全基準内に収めつつ、VERY読者の皆さんのかっこいいと思うレベルにどう達するか。そこのバランスは本当に難しかったですね。


キャリア

泥よけに則したキャリア

名波谷
泥よけに則したキャリア※3をデザイン的にやりたいということで、できるだけ泥よけにあったラインにして、キャリアがないように見せるように努力しました。お子さんを後ろに乗せると、運転しているときにフレームがたわんだりねじれたりするんですよ。HYDEE.Bは後ろに22kgのお子さんが乗ることを想定して、フレームの剛性を高めて安定させているんですが、キャリアも同じようにタフでないと安定性に影響してくるんです。だから、キャリアも普通の自転車とは違って肉厚の設計にしています。

※3 荷台のこと。HYDEE.Bではキャリアにチャイルドシートを積載。



中森
VERYさんからのフレームの希望は「丸のデザイン」でした。デザイン的なことを考えると、フレームは極力細くしなければオシャレには見えない。でも、細くすると当然強度は弱くなる。女性がまたぎやすいようにフレームを低くしなければならないので、これも強度的には不利な方向に働く。そのバランスを考えながら、普通の自転車よりも丈夫にしなければいけないという作業は結構苦戦しました。結果、フレームは鉄だと重いのでアルミで作ることにして、強度を持たせて細く作りました。

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デザイン性と安全性の両立

フットガード

お子様の足を守る大型フットガード


チャイルドシートCAD

チャイルドシート設計図


クッション

クッション断面

名波谷
今回、いろんな新しい部品を使っているのですが、キャリア、ドレスガード、タイヤ、ホイールなどフレームに組みつく部品が多いので、フレームの検証は特に何度もやりました。ひとつでも新しい部品があれば、これを使ってちゃんと大丈夫かという検証を改めて全てのパーツでしていかなければならないので。そういう意味ではフレームが一番大変だったかもしれません。
他にはフットガード。万が一の時にも子供の足が車輪に巻き込まれないように、大型の部品をつけています。


中森
当初、フットガードはまっ平らな板で進めていたんです。でも、社内で「風通しが悪いんじゃないか」という指摘がありまして。横風を受けたときにダイレクトに風を受けるので、ぐらつきやすいんですよ。それをどうやって解決しようかという話になって、「じゃあ、穴を開けよう」と。でも、穴をあけると途端にママチャリっぽくなってしまうんです。だからデザイン性を捨てずに穴をあけるということで、右上にいくにしたがって丸を小さくするというグラデーションのあるデザインにしました。


名波谷
チャイルドシートはまったくのゼロから、HYDEE.Bのために開発しました。これには相当時間をかけて何度もデザインを起こしましたが、大変な作業でしたよね。


中森
そうですね。まずは、「なるべく小さく見せる」ということを考えました。従来のものはヘッドガードの部分も大きいですし、頑丈なので重さも結構ある。今回は軽量化するためと製造のしやすさから樹脂を使い、座面は浅く設計して小さく見えるようにデザインしました。また、操作ボタンがデカデカとついているといかにもママチャリという感じがするので、なるべく目立たないように操作ボタンは後ろではなく横にしました。
あと、クッションですね。今回のクッションは表面がウエットスーツのような素材になっていて、撥水加工してあります。かなり水を浴びると表面がしっとりしますが、中に水は通らない。クッションの中はEVA発泡構造※4なので、水は基本的にはしみ込まないんです。このクッションは世の中にはないものなので、作るにはかなり苦戦しました。また、迷彩柄ありきだったため、素材の感じがなるべく安っぽくならないように工夫を重ねましたね。

※4 耐水性、耐湿性に優れ、また、柔軟性があり丈夫で千切れにくいメリットがある。



名波谷
もちろん、いくらオシャレありきとはいえ、子乗せ前提で作っているので、ハンドルを固定する機能やお子さんを乗せたまま簡単に立てられるスタンドなど、そういう要素はしっかり盛り込んでいます。このあたりは海外製のチャイルドシートを後付けする自転車とは利便性や安全性で大きくリードしているポイントです。これらもデザインの統一性のため目立たせないように黒にしています。

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VERYとのコラボ企画だから実現できた「HYDEE.B」

中森
努力の甲斐もあって先行予約200台が40分で完売。これを聞いた時は本当に嬉しかったですね。仕上がりを見ても素直にかっこいいと思いますし、自分の奥さんにも乗せてあげたいっていう気持ちになりました。


名波谷
HYDEE.Bがもし社内の企画だったら、おそらく通らなかったんじゃないか思うんですよね。「VERYさんとのコラボ企画」ということで、ここまで振りきったデザインになったのではないかと。


中森
こういうのは難しいところがあって、オシャレありきで設計して、実際に乗ったら不便だとなると、最初で終わっちゃうんです。ですから、オシャレなうえに、使い勝手もちゃんといいように設計しています。我々もアンジェリーノなどの商品があるからこそ、こういった思い切った車種に踏み切れていますし。
たしかに、VERYさんと組んでいたから企画も通しやすかったし、自分たちだけでは量産化までは無理だったかもしれません。VERYさんと組んでいたからできた企画だと言えますね。

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For mama & papa Handsome Bike