LONG RIDE HACHIJOJIMA ~東京離島地熱輪行~

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子供の好きなおもちゃは身体の成長と反比例して空想世界の対人スケールが小さくなり、次第に1/1になるような気がする。僕だけかな? 病気がちな幼少期、部屋の丸型蛍光灯はスペース・コロニーで、シーツの柄が広大な人口都市だった。やがてロボットアニメの模型にハマり、それがモデルガンになったころに自転車にも興味がでてきた、ように記憶している。おもちゃと遊ぶ、から、おもちゃで(友人と)遊ぶ、への変化かもしれない。
高校の頃通学で使っていた2×6段のロードマン・コルモは友人との初めての輪行バイクでもあった。なんの知識も経験もなかった僕らは、使いもしない寝袋や換えのベルトやオセロまで持ちだして、軽量化になると本気で思ったのか、最後にタイヤの空気を抜く始末だった...

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それから数十年。今回は仕事もライドも出身地もバラバラな友人同士で、八丈島のライドに誘われた。東京から飛行機で30分ほど、大島よりは秘境感あり、小笠原ほど遠くない。山手線内くらいの大きさ。「なにもすることがないことが楽しめる人に向いている」らしい島。悪くない!

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東西に新旧二つの火山島がくっついた形のこの島は真ん中の低地が都市部。空港近くのコテージでは西海岸生まれの女将が迎えてくれた。オススメご当地情報(ときどき間違ってる)を聞きながらバイクを組み立ててまずは西の八丈富士あたりをサイクリング。新しい山(火山活動中)のため綺麗な円錐が残っている。つまり直登のキツ目の坂が多い格好。路面良好、車の往来は無し、おまけにガードレールも少ないので見た目も気持ちよくinstagramにも映える道だった。7月の激しい暑さと湿気だが、標高が500mを超えると風が変わってくるのがわかる。ビールが旨いんだろうな。富士山でいう五合目あたりの位置に、ぐるっと中腹を一周する道もできている。普段とちがうノーマルクランクとディープリムなバイク。高校の頃に魔改造したロードマンとは隔世の感。お互いのカッコいいところを写真で撮り合いしたり、放牧の牛とじゃれているうちに夕方近いことを知る。まだ陽は高い。汗はずっと止まらない。あぁ、ビールが旨いんだろうな!

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輪行や幹線道路の危険なアプローチなど都会の面倒なことは一切なく、アメリカンな女将のもとに戻る。この離島感。すべてがコンパクトに収まっているので、箱庭や盆栽を愛でるようにライドも海山のいいとこどりができる楽しみがある。地元が運営している温泉(東京の銭湯より安い!)で血行促進して、宿呑みをキメた。終電も気にしないで、目の前に置いたバイクと今日の写真を肴に、深くて浅い話は尽きないのだった。明日早いけど。

澤隆志
キュレーター/映像作家。2000年から2010年までイメージフォーラムでプログラム・ディレクターを務める。現在はフリーランス。ロッテルダム、ベルリン、バンクーバー、ロカルノ等の国際映画祭や、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館など国内美術館等にプログラム提供、イベント多数。

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