1817年ドイツ人によって発明された自転車。
私たちにもっともなじみ深く、身近な乗り物ですが、そこにまつわる話は以外と知られてないようです。
もっと自転車のことを知って欲しいから連載形式でさまざまな角度から、やさしくレクチャーします。

第3回
ダイエットに好都合な自転車
その2 運動強度をコントロールしやすい自転車

「運動強度の選択はエネルギー源の選択!」
“こんなに運動しているのに痩せない” サイクリング、ジョギング、スイミング・・・有酸素運動を継続している人でこんな経験をお持ちの方は少なくないでしょう。考えられる原因は二つ。(1)消費したエネルギーよりも多く食べている、(2)運動強度(運動の強さ)が適切でない、前者はダイエット(食事制限)との関係があるので別の機会にお話しするとして、今回は後者の運動強度に着目してみましょう。
ヒトが生命を維持するためのエネルギー源は糖分、脂肪、たんぱく質の三つです。このうち、たんぱく質は、糖分・脂肪が枯渇したときに筋肉などを分解してエネルギーに変える言わば非常最終的なエネルギー源ですから、普段の生活や運動するときのエネルギー源は糖分・脂肪分となります。ところで、この二つのエネルギー源は運動強度によって使われる割合が変化します。
図1をご覧ください。運動が激しくなればなるほど肝臓や筋肉に貯蔵されている糖分を燃やしてエネルギーに変え、脂肪はほとんど燃えません。一方、軽い運動ではエネルギー源の半分は脂肪であることがわかります。運動強度の選択はエネルギー源を選択しているようなものなのです。
「日ごろ、運動不足の人ほど自転車がおすすめ!」
脂肪を落としスリムな身体を目指すならば、脂肪が効率的に燃焼する軽運動を行わなければなりません。ここで、もう一度図1をみてください。単純なことですが、軽い運動の場合、疲労物質の蓄積が少なく運動を長時間にわたって行うことが可能です。一方激運動になると、疲労感の手助けもあってか、たくさんやった気分になれますが、長時間続けることは不可能です。この両者を比較すると、消費するエネルギーは軽運動+長時間の方が大きいのです。軽運動の効果は効率よく脂肪を燃焼するだけではなく、実質的な脂肪燃焼量も大きくなり、(脂肪の)減量には適しているのです。
ところで、日ごろ運動していない人が軽いジョギングを行うと、どれくらいの運動強度になるのでしょうか?
1kmを8分ぐらいの歩くよりやや速い軽いジョギングでも日ごろ運動していない人では、最大能力の70%の運動強度となり、エネルギー源となるのは脂肪ではなく、糖分が中心となってしまうのです。自転車の場合ですと、時速15km/h(普段自転車で通勤するくらいの速度)で最大能力の50%の運動強度となり、脂肪がエネルギーの半分になります。脂肪を100%エネルギーとしたいところですが、残念ながらいかなる運動や生活でも脂肪は最大で50%までしかエネルギーとなりませんので、これが最も脂肪を多く燃やす運動強度となるのです。最大能力の50%の運動強度とは脈拍にすると110?130拍程度です。
このように日頃運動を行っていない人でも、自転車では軽い運動強度を得ることができるので、脂肪を燃焼させるには最高の運動となるのです。