【2019全日本選手権ロード】ロードレース窪木16位、示せなかったチームの実力

2019全日本選ロードレース 窪木16位、示せなかったチームの実力

レース名:第88回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース エリート男子
開催日:2019年6月30日(日)
開催地:静岡県駿東郡小山町《富士スピードウェイ》内特設コース
コース長:226.8km(10.8kmx21周)
TEAM BRIDGESTONE Cycling出場選手:石橋学、窪木一茂、黒枝士揮、近谷涼、徳田優、橋本英也、平塚吉光、孫崎大樹

2019年6月30日、静岡県駿東郡小山町の《富士スピードウェイ》にて開催された、ロードレース全日本選手権エリート男子クラスにTEAM BRIDGESTONE Cycling8選手が参加、チームでの最上位は窪木一茂の16位でした。

すべてのブリヂストン選手が全力を尽くし、できることを最大限行いましたが、3日前に転倒し負傷していた選手たちは特に、その影響が体にも心にも響き、実力を存分に見せることなく無念の結果となりました。

photo: Kei TSUJI


通例として6月の最終週末に開催される全日本選手権。自転車競技界では、この各国選手権大会(National Championships)は他のレースとは違った価値を持ちます。
選手権大会に勝利すると、その年、その国の最強選手と評されます。世界シーンで認められる第一歩としても、この日、この一戦での勝利が必要です。

参加可能選手枠8名をすべて使うTEAM BRIDGESTONE Cyclingは、今年シーズン前半の戦歴からも、優勝候補であったのは間違いありません。



(徳田)


今日は降り続く雨だけでなく風も、600m続くゴールストレッチでは向かい風になって選手の脚を削ります。

時に広く、時に絞られる変則的に変化するコース幅は、集団のボトルネックとなって選手幅を一列にします。集団前後の距離はみるみる開き、スタートから3周目までに、参加選手154名の半数をタイムアウトにしています。



一周10km教、全21周回の4周目から、アタックがかかり始めました。まずできた6名の逃げに乗ったのは徳田優。そこに石橋学ら3名が加わるべく1周かけ追走しますが、集団はこれを許さず、速度を上げ長く伸びて先頭グループを吸収します。尻尾はまたちぎれていきます。



8周目後半、徳田優が飛び出します。ここで徳田についてくる選手はほぼおらず、徳田は独走となりました。

「前々で行こうという作戦だったので、前に小さな集団ができたらいいなと思って行ったら、一人になってしまいました」(徳田)



(徳田)


今年前半、チームの風よけとして走ってきた徳田は、2017年の全日本選手権U23を二人の先頭から一人逃げ勝った経歴があります。無線を使えないなか、どこまで判断してペース配分できるか。一時は3分以上まで空いた差の集団の中で、チームは脚を休めます。



(窪木、黒枝、橋本、平塚、近谷)


徳田は16周まで一人で走り続けました。距離にして100km弱。50名ほどまでに減っていた集団は徳田を飲み込んで集団は活性化。残り40kmほどの距離を制するべく数々の選手がアタックを試みます。

後半は狙っていくはずだった石橋は、前半を徳田に任せて溜めきった脚で、後半はなんども全力で仕掛けていきますが、なかなか決まりません。



(石橋)


「後半、一気に抜け出すことに重きを置いていたので、脚を溜めるというより使っていく方向で」(石橋)

新城幸也選手(TEAM BAHRAIN MERIDA)のアタックに反応した12名が逃げを決めます。この中にブリヂストン選手はいません。

「この逃げは、本当に危険だと思いました」と平塚吉光。平塚は、余裕のあった黒枝士揮と協力して、後方集団の牽引力となることを決めます。



(平塚)


「僕と黒枝と二人で全力で追いました。でもこれが窪木以外の駒(チーム員)を全部集団から千切ってしまいました」(平塚)

集団の速度が上がるとは伸びること。平塚と黒枝士揮が中心となって先頭グループを追った集団は速く長く伸び、その結果中切れして分裂。



(黒枝)


「平塚さんだけで追いつきたかったんですが、追いつけなくて。自分も引いたら、チームメイトを置いていってしまいました。
 結局自分の後ろの集団には窪木さんしかいなくて」(黒枝)

タイミングで集団の後方にいた近谷涼、石橋、孫崎大樹、橋本英也の4選手はボトルネックで後方集団へと追いやられ、ゴールを見ることなくレースを降ろされます。



(石橋)


「抜け出そうと思って動いていたんですが、なかなかうまく決まらず消耗していって。結構なんども思いっきり行って、最後は駄目押しで行ったりもしてたんですが、結局それがうまく決まらず、最後ちぎれてしまったという感じです」(石橋)



(孫崎)


「TTでの落車で、恐怖心が残ってしまって。下りで遅れて上りで脚を使って上がる走りが続いて。いつもそういう走りをしないので、無駄脚を使ってしまった感じがあって。新城選手がしかけた12人のしかけのとき、後ろに下がっていました」(孫崎)

牽引を担当した平塚、その後完走まで走りきった黒枝は、先のTTには出場していません。もちろん落車なくベストコンディションで今日に臨んでいます。
一方、石橋と孫崎は3日前のTTで落車し、右もも脇に深い擦過傷を作っています。



(窪木)


同じ場所で落車し同じところに傷を作っている選手は多く、この滑りやすいコーナーで落車した窪木一茂も、同じ場所をえぐっています。レース後の窪木は、体は歪み歩くのも傾いていたと整体で言われたそうです。

2週間前のレースでは無尽蔵のスタミナを見せた石橋が、後半まで生き残れるスキルと体力を持つ孫崎が、共に後ろに下がっていったのは、この落車が肉体的にも精神的にも大きく影響していたからでしょう。



(近谷)


結果この12名の逃げは捕まり、また一つに。引ききった平塚は後方に落ちてタイムアウト、30名強になった集団には、窪木と黒枝しか残っていません。最終局面に向け速度が上がり、常に活性化、窪木は集団前方にいましたが、19周目前半の結果勝ち逃げとなる新城選手を含む3名のアタックに、窪木は乗れませんでした。



(窪木)


「逃げを打った選手たちに対し、牽制してしまったのはあります。最後の逃げが決まったときには『やってしまった』という気持ちが大きかったです」(窪木)

「今年、うちはいい流れでやってきて。とてもいい状態でこの大会に臨めたとは思いましたし、みんなもそういう気持ちで臨んでくれて。序盤から攻めていって、一コマずつ進めていって、手繰り寄せている感覚はあったのですが」(六峰監督)

「結構いろいろチャンスはあったけど、全部失敗して、チャンスを失ってしまったということでした」(孫崎)



(窪木)


毎年、6月最後の日曜日に開かれる全日本ロードレース選手権、2019年のTEAM BRIDGESTONE Cyclingは、確実な準備を行い、すべての選手が全力を尽くして望みましたが、結果には繋がりませんでした。『時の運に見放された』、敗北のすべての理由がこの一言に集約されるような一戦でした。


この週末、U23クラス個人TTでは今村駿介が勝利したものの、他の種目での勝利を逃し続けたTEAM BRIDGESTONE Cycling。本命であり地元であり、8名で万全の準備で満を持して臨んだにもかかわらず、誤解を恐れずに言えば、『勝つべくして勝つのは、いかに難しいか』を示すことになりました。



しかし勝つべくして勝ってこそのレーシングチームです。勝利を望まれそれを成し遂げるのが、チームブリヂストンの使命です。これからもTEAM BRIDGESTONE Cyclingへ、みなさまの熱い声援を、よろしくお願いいたします。

【リザルト】第88回全日本自転車境地選手権大会ロード・レース 
2019/6/30 エリート男子

1 入部正太朗(シマノレーシング)6:12:27
2 新城幸也(BAHRAIN MERIDA)+0:00
3 横塚浩平(Team UKYO)+0:08
16 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+4:52
23 黒枝士揮(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+10:36
--- 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
--- 石橋学(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
--- 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
--- 平塚吉光(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
--- 橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
--- 徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF

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