【ツール・ド・熊野2019】第3最終ステージ/中盤の勝ち逃げに乗った孫崎がスプリント2位に

ツール・ド・熊野/第3最終Stage/孫崎が2位獲得

(孫崎)


レース名:第21回ツール・ド・熊野 第3・最終ステージ
UCIカテゴリー:2.2
開催日:2019/6/2
開催場所:和歌山県太地町 太地半島周回コース
コース長:104.3km
TEAM BRIDGESTONE Cycling 参加選手:石橋学、黒枝士揮、沢田桂太郎、近谷涼、平塚吉光、孫崎大樹

photo: Satoru KATO / Keitaro SAWADA

ツール・ド・熊野のプロローグ+全3ステージの最終ステージが、和歌山県太地町にて行われ、TEAM BRIDGESTONE Cyclingの孫崎大樹が2位を獲得しました。中盤からの7名の逃げに入り、そのままゴールまで逃げ切ってのスプリントでした。個人総合では平塚吉光が6位となっています。


(平塚)


この日の雨予想は見事に当たり、スタート直後からしとしとと振り始めた雨は、どんどん強くなっていきました。

ツール・ド・熊野の最終ステージのコースは、基本平坦基調で2度急激に登る箇所がありますが、基本的には速度の高くなるプロフィールです。このコースで狙える、とチーム内で目されていたのが孫崎でした。



(左から:孫崎、近谷、石橋)


先のツアー・オブ・ジャパン(TOJ)から、孫崎の走りは日に日に向上しています。窪木一茂をゴールスプリントへ向けてリードアウト(先導)する役目を担っていた孫崎、つまり最後まで自分で勝利を狙える位置にもいなければならなかったということです。

ある日は失敗、次の日には改善。短期間で一気にその役割の精度を上げた孫崎は最終日、窪木を誰よりも速い速度でゴールに送り出しました。「孫崎は、確実に機能しています」と六峰監督からの評価も高く、自身もこのUCIレースでの初勝利のチャンスを狙っていました。



昨日のステージに続き、ツアー総合リーダーである選手を擁するマトリックスパワータグが集団を積極的にコントロールしていきますが、今日の天候は雨、しかも時間を追うごとに強くなっていき、集団の速度は上がりにくい状況となっています。

レース序盤に起こった逃げを吸収した集団から、新たに7名の選手が抜け出し、ここに孫崎がいます。

「雨がすごく、下りも怖くて。晴れていたらアタック合戦だったと思うんですが、総合順位に関係ない選手は落ち着いて走りたい雰囲気があったように感じました。そんななか、決まりそうな逃げがあったので反射的にそれに乗りました」(孫崎)



(左:孫崎  ©Tour de Kumano 2019)


孫崎の走りは、この勘の鋭さも特徴です。スプリンターを含む強豪選手7名の逃げは、途中で2名の選手を振り落としてラスト2周回へ、持久力ある選手が残った5名の逃げは、ゴールまで逃げ切る様相が見えてきました。

「ただ自分はゴールスプリントになるとは思っていませんでした。最後1周回にある2回の登りで、絶対にアタックがかけられると思っていて、それに備えてもいました」(孫崎)



(孫崎)


孫崎の読みどおり、昨日の勝者であるクライマータイプのトマ・ルバ選手(キナンサイクリングチーム)が最後の上りでアタックを仕掛けてきました。しかしそれに孫崎を含むスプリンター系選手は食らいつき、ゴールスプリントへとつなぎます。

ゴール前1kmほどから孫崎は、フェデリコ・ズルロ選手(ジョッティ・ヴィクトリア)の後ろでマークします。ズルロ選手はTOJでポイント賞を獲得しているスプリンタータイプ。彼のスプリントを超える作戦で孫崎は備えます。

しかしゴール前300m、仕掛けたのは入部正太朗選手(シマノレーシング)でした。「入部選手が先に仕掛けて、ズルロ選手がそれに反応したことで、僕はタイミングを失ってしまいました」(孫崎)



(左:孫崎  ©Tour de Kumano 2019)


時を逃したとは言え学生時代はトラック競技でも活躍した加速力を持つ孫崎、ゴール直前に失速した入部選手を抜き、ズルロ選手へと迫る速度でしたがコース長があと数m足らず。タイヤ1本の差で孫崎は2位に。チームが願っていた孫崎のUCIレース初優勝は、悔しくも持ち越しとなりました。



(左から2番め:孫崎)


そしてチームもう一つの目標であった平塚吉光の総合順位は6位。3〜5位までが1秒差であったことを見ると、最善を尽くしたとは言え、一抹の悔しさも残ります。

「僕は最低限しかできなかったとは思いますが、チームに守ってもらったおかげで、この4日間、我慢して、我慢して走り続けられました。今日の僕は得たものもないですが、変わりに失うものもなかった。そういう意味ではチームにとって良かったなと思っています」(平塚)

平塚の上記の発言までには、チーム最年長の選手として、このレース全体を通してチームを見た言葉がありました。機会あれば別記事にてお伝えします。



(平塚)


【リザルト】 ツール・ド・熊野 第3ステージ 太地半島 2019/6/2
1 フェデリコ・ズルロ(ジョッティ・ヴィクトリア)2:38:28
2 孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0:00
3 入部正太朗(シマノレーシング)+0:00
16 平塚吉光(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0:51
29 黒枝士揮(TEAM BRIDGESTONE Cycling)+3:00
-- 近谷涼 (TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF
-- 石橋学 (TEAM BRIDGESTONE Cycling)DNF

*個人総合成績
1 オールイス・アウラール(マトリックスパワータグ)7:39:49
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+0:09
3 ユーセフ・レグイグイ(トレンガヌ・INC.・TSG・サイクリング・チーム)
6 平塚吉光 (TEAM BRIDGESTONE Cycling)+0:16

*チーム総合(上位3選手)
1 マトリックスパワータグ 22:39:26
7 TEAM BRIDGESTONE Cycling +13:02

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