梶原悠未選手が銀メダル獲得!【東京2020オリンピック女子オムニアム詳報】

東京2020オリンピック最終日となる8月8日(日)、伊豆ベロドロームで行われた自転車競技トラックの女子オムニアムで、梶原悠未選手(チームブリヂストン機材サポート)が銀メダルを獲得しました。

自転車競技における「日本女子初のメダル獲得」という快挙を達成したレースを振り返ります。

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積極的な位置取りをみせた
スクラッチレース

女子オムニアムの1種目目、「スクラッチレース」。30周(7.5km)を走りフィニッシュ順位でポイントが付与されます。前々日に実施された女子マディソンでのレース展開から、高速での激しい展開も予想されましたが、比較的ゆったりとしたペースで、先頭交代を繰り返しながら集団は周回を重ねていきます。
有力勢がお互いの動きを見合っているためか、ラップ(1周回先行して、主集団に追いつくこと)を狙って飛び出す選手もいません。

残り10周、いよいよ最後のスプリント勝負が濃厚となったところで、一列棒状だった集団は横に広がり、スプリントに向けてのポジション争いが熾烈になっていきます。
残り3周、後方から徐々に位置をあげた梶原選手が、先頭を走るエドモンドソン選手(オーストラリア)の番手につき、絶好のポジションで最終盤を迎えます。さらに後方からの追い上げを狙う選手たちがスピードをあげていくなか、ラスト1周手前、集団の中ほどで大規模な落車が発生。複数の有力選手もこの落車に巻き込まれてしまいます。2番手を走っていた梶原選手は幸い巻き込まれることなく、スプリントを開始。バレンテ選手(イギリス)に逆転されてしまいましたが、2位(38ポイント)でこの種目を終えました。なお、落車によりフィニッシュできなかった選手は、13位タイの扱いで16ポイントをそれぞれ獲得しています。

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ポイントを積み重ねられなかった
テンポレース

第2種目のテンポレースは、スクラッチレースと同じく30周(7.5km)を走り、5周目以降、毎周フィニッシュラインを先頭通過した選手に1点を付与。最終的に獲得ポイントの多い選手が1位となります。序盤、後方で落ち着いてレースの流れをチェックする梶原選手。バルサモ選手(イタリア)やディデリクセン選手(デンマーク)らが逃げを試みますが、それを許したくない選手たちが追走するなど、スクラッチレースから一転、集団は落ち着きません。激しく先頭が入れ替わるなか梶原選手は10回目のスプリント周回で、ポイントを獲得。14回目のスプリントポイントでも2ポイント目を狙ったいましたが、ステンベル選手(ノルウェー)に阻まれてしまいます。

終盤は、すでに周回遅れとなっていたフランスやカナダの選手たちが巻き返しを図り、ポイントを獲得する周回が続きます。最終的に梶原選手は1ポイントのみとなりましたが、先頭集団に居続けたために、5位(32ポイント)でこの競技を終えました。暫定順位は3位に。

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レース巧者ぶりを発揮した
エリミネーション

第3種目のエリミネーションは、2周ごとにフィニッシュラインの通過最後尾の選手が除外されていき、最後の一人になるまでレースが行われます。梶原選手が、勝つために研究を重ねてきた種目です。
中ほどから後方に位置して走る梶原選手は、他選手の動きを確認しながら、狙った選手が前に出れない位置取りをし、次々に選手たちをエリミネイト(除外)していきます。
その巧みなレース運びに、何度も会場中から称賛の拍手が巻き起こりました。
最後、一騎打ちのスプリントこそ、コポニ選手(フランス)に敗れたものの、この種目を2位(38ポイント)で終え、ふたたび暫定順位を2位としました。

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冷静なレース運びで獲得した銀メダル
ポイントレース

オムニアム最終種目のポイントレースは、10周回ごとのポイント周回での着順で1位5点、2位3点、3位2点、4位1点が与えられ、ゴール時には、その倍の点数が獲得できます。80周回(20km)で行われたので、ポイント周回は8回です。
ここまでの暫定順位は、バレンテ選手(アメリカ)が110ポイントで1位、梶原選手が108ポイントの2位、ステンベル選手(
ノルウェー)が94ポイントの3位、ディデリクセン選手(デンマーク)が92ポイントで4位と続きます。ポイントレースでの獲得ポイントはそのまま各選手のポイントに加算され、主集団を周回遅れにすると20点も獲得できるため、逆転優勝を狙える選手が多数いる状態です。

下位からのジャンプアップを狙う選手も積極的にポイント獲得を狙ってくるなか、3回目のスプリント周回で3位(2点)を獲得した梶原選手ですが、その後はなかなかポイントを獲得することができません。しかし、首位を走るバレンテ選手も思うようにポイントを積み重ねることができず、その差は大きく広がりません。梶原選手もしきりに電光掲示板で、状況を確認し、下位選手に逆転されないかをチェックしつつ、逆転優勝の機会を伺っている様子です。

ゴールでの1位獲得による10点獲得で、大逆転の道筋が見えてきたタイミングで、梶原選手にアクシデントが発生。残り9周回のところで、ウィルト選手(オランダ)と接触して落車。会場も予想外の出来事にどよめきが起こります。
しかし、梶原選手は冷静でした。落車後5周回中に集団に戻れば、減点なくレースに復帰できるため、息を整え再び走り出しました。
狙っていたフィニッシュでは、落車の影響もあったためか、ポイント獲得には繋がりませんでしたが、3位以降の選手も梶原選手を逆転することができず、2位を死守し、銀メダルを獲得しました。

このメダルは、17日間にわたって開催された東京2020オリンピックでの日本代表選手団が獲得した最後のメダルとなり、本大会における自転車競技での唯一のメダルでもあります。
この快挙に、伊豆ベロドロームの客席からは盛大なスタンディングオベーションが梶原選手に贈られました。

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最後にレース直後の梶原選手のコメントをお届けします。

「メダルを獲れたことはとても嬉しいです。練習の成果が、この結果に繋がったかなと思います。ただ、優勝を目標にここまで努力してきたので、すごくすごく悔しい気持ちもあります。パリ2024オリンピックでは、必ず金メダルを獲りたいです。

ここまで本当にたくさんの方が支えてくれましたし、なにより母が一番近くですべてをサポートしてくれました。その思いに応えるためにも、メダルを獲れてほっとしています。今回の結果で、日本人女性が自転車競技で世界に通用するということが、多くの方に伝えられたと思うので、これから競技人口を増やして、競技レベルも上げて、日本が『自転車強豪国』と呼ばれるようにみんなで頑張っていきたいと思います。本当にたくさんの応援をありがとうございました!」


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【最終結果】
オムニアム女子/梶原選手 2位 銀メダル獲得(スクラッチ 2位、テンポレース5位、エリミネーション2位)

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